経営の健全性・効率性について
給水収益は給水人口の減少や節水機器の普及等により減少傾向にあるものの、令和元年度は、支払利息や動力費の減少等による経常費用の減少により、経常収支比率は平成30年度を上回った。類似団体との比較では、5年連続で平均を上回っており、前年度を上回る結果となった。料金回収率は常時100%を超え、累積欠損金もない状況であるが、企業債に対する依存度が高いことにより、流動比率は、類似団体及び全国平均を下回り、企業債残高対給水収益比率は、類似団体及び全国平均を上回っているため、支払能力を高めるための経営改善を図っていく必要がある。観光地である当市は、繁忙期の入込客数の水需要に対応しなければならず、給水人口に対して施設規模が大きいため、施設利用率が類似団体及び全国平均を大きく下回っている。有収率については、施設の老朽化による漏水等の原因により、平成28年度まで類似団体及び全国平均を大きく下回っていたが、漏水個所の特定等により改善し、平成29年度及び平成30年度は類似団体と同水準となった。令和元年度は86.87%と類似団体を大きく上回っている。以上より、経営の健全性については、毎期黒字経営が続き、収支状況は概ね良好であると思われるが、他団体に比べて企業債への依存度が高く、資金繰りが厳しい状況にあり、経営の効率性の面では、施設規模等から、夏期繁忙期を除いては非効率な経営状態を余儀なくされている。
老朽化の状況について
資産の老朽化の状況については、有形固定資産減価償却率が類似団体及び全国平均よりも高くなっていることから、施設の老朽化が進んでいる状況にある。また、管路経年化率も類似団体及び全国平均よりも高く、管路の更新が遅れている状況にある。近年の管路更新率は、類似団体及び全国平均を上回っていたものの、年々上昇する管路経年化率により、令和元年度は、類似団体及び全国平均を下回った。管路の法定耐用年数に応じた更新には至っておらず、前述の管路経年化率の状況からも、更新投資の増加が望まれる。
全体総括
今後の経営環境は、老朽化する施設の更新需要が年々増加していく反面、人口減少等により収益性は低下し、ますます厳しい状況になっていく事が予想される。当市は、現時点での収支状況は概ね良好ではあるが、経営の効率性や資産の老朽化については、他団体よりも厳しい状況にあり、今後も安定した水の供給を行っていくためには、更新需要と収支のバランスを取りながらの経営が求められる。そのため、平成30年度に策定した下田市水道事業経営戦略に従い、施設の維持管理と事業の健全経営に向けた取り組みを着実に進めていく。