経営の健全性・効率性について
①「収益的収支比率」は例年、平均に対し低水準で推移している。料金改定を令和2年4月に実施し、以降使用料収入が増加したものの、維持管理費の伸びにより令和3年度の比率は2年度を下回る結果となった。依然として維持コスト削減は課題である。④「企業債残高対給水収益比率」は、例年同様、類似団体の平均を大きく上回っている。今後は、老朽管の布設替や施設機器更新による起債借入により更なる比率上昇が見込まれる。また、本村は山間地であるため起伏の激しい地形で集落が点在し、配水池やポンプ等送配水施設が多く、その建設による企業債償還が経営を圧迫している。地下水源に乏しい本村は、主な水源を河川に頼っており、急速ろ過の施設を運転しているため、その費用も負担となっている。これらが⑤「料金回収率」を下げ⑥「給水原価」の水準を引き上げている要因であるといえる。⑧「有収率」は徐々に改善されているが、山間地に埋設された配水管の漏水が多く、道路部に比べ発見が非常に困難で修繕に時間を要していることが課題である。老朽管の更新を進め、引き続き漏水の防止・解消に取り組んでいく。⑦「施設利用率」については平均値に対し低水準である。これは下水道の普及で水道需要を見込んだが、人口減少の影響を受け需要が伸びなかったと推測される。また、慢性的な能力不足とは断水を意味するので、ある程度の余裕が必要で、現在の水準になった要因の一部と考えられる。施設更新にあわせダウンサイジングも視野に検討をしていきたい。
老朽化の状況について
本村の水道事業は昭和56年度に着手をはじめ平成10年度にかけて順次水道施設が整備された。古いところで40年が経過しようとしており、一部では老朽化の目安となる30年に達している。平成14年度から平成16年度にかけて一部老朽施設・管路の更新を行って故障・漏水件数は減少した。平成30年度より計画的に、国庫補助を活用した老朽管の更新に取り組んでいる。配水管を更新することで、漏水の解消・予防により安定した水道水の供給を目指す。また、耐震性のある管に布設替えすることで、管路の強靭化も図る。令和3年度は老朽管の布設替工事を実施し、約3%の249mを更新した。
全体総括
村の人口減少に伴い給水人口も減少傾向である。給水戸数では大きな減少は見られないが、空家化しているお宅も多く、給水量自体は徐々に減りつつある。しかし、山間地であるため点在する集落への安定した給水は引き続き行わなければならない。施設や管路については更新の波が迫っており、今後、建設改良費が更に伸びていくことが予想される。このような背景を踏まえ、安定的な財源確保のため、数年来据え置かれていた水道料金を令和2年4月に改定し、基本料金・従量料金を引き上げた。また、限られた財源の計画的な投資を見据え、令和6年度の公営企業会計の適用に向けて令和3年度より移行準備を進めている。人口減少、施設・管路の老朽化など課題があるが、引き続き、将来を見据えた水道事業運営に取り組んでいく。