地域において担っている役割
峡南医療センター企業団は、公立病院として地域医療を守るため、急性期から回復期、在宅医療に至るまで地域全体で切れ目のない必要な医療を提供し、地域完結型医療を目指している。富士川病院においては、救急医療やがん診療等の高度・専門的な医療を提供し、災害拠点病院としてもDMATを配備して災害時における対応を充実させている。
経営の健全性・効率性について
●経常収支比率・医業収支比率平成29年度から構成町より総務省の繰出基準に準じた負担金の繰り入れがされ、経常収支比率・医業収支比率共に類似病院平均値を上回る結果となった。●累積欠損金比率平均値と比較し低い数値で推移しているが、企業団全体で考えると累積欠損金は年々増加しており、解消に向けた経営改善が必要である。●病床利用率地域包括ケア病床の開始やベッドコントロールの見直しにより、病床利用率は少しずつではあるが上昇してきた。しかしながら、まだ平均値よりも低い状況であるため利用率アップに向けて取り組む必要がある。●入院患者・外来患者収益入院患者数は増加傾向にあり、収益単価も平均値より高い状況ではあるが、診療報酬の改定等の影響から減少がみられる。外来患者においても、患者数は伸びているものの収益単価が平均値を下回っているため、病院全体で診療加算点数の取りこぼしを無くし、収益単価のアップに繋げていく。●職員給与費対医業収益比率企業団発足当初は、平均値を大きく上回っていたが、施設間の職員異動や退職不補充等により、改善されている。●材料費対医業収益比率施設間における薬品や診療材料の共同調達など材料費削減に努めてはいるものの、入院患者収益が平均値を上回っていることに比例し、材料費比率も平均値より高い状況となっている。
老朽化の状況について
有形固定資産及び機械備品共に減価償却率は年々上昇してはいるが、平均値と比較しても低い数値を推移しており健全のように見られる。しかしながら、これは、当企業団が平成26年度に発足し、建物や機械備品等の中古資産を多く引き継いでいるため低い数値となっているに過ぎず、現状は、耐用年数の過ぎた機械器具や施設の老朽化が著しく、医療機器等の固定資産の更新は重要な課題となっている。また、同様の理由で帳簿原価の無い資産を企業団発足時に多く引き継いでいるため、1床当たりの有形固定資産も平均値を大きく下回っている状況である。
全体総括
当面は平成28年度に策定した、峡南医療センター改革プランに沿った経営改善を着実に実行し、経常収支比率や累積欠損金比率の更なる改善に取り組んでいく。また、老朽化した医療機器の更新や電子カルテの更新等が控えているため、必要な設備投資に優先順位を付けて計画的に整備を行い、健全な経営を維持していく。