地域において担っている役割
当院は、中新川郡内唯一の公立病院として地域医療のニーズに対応するために保健・福祉分野と連携した包括医療・ケアの強化を行っている。また、地域医療構想を踏まえた救急、出産及びへき地診療といった行政からの要請と、訪問診療及び訪問看護に代表される在宅医療の機能を強化することで地域包括ケアシステムへの取り組みを推進し、地域で生活する人々の安心の拠り所となっている。
経営の健全性・効率性について
令和元年度は、医業収益が増加したものの医業費用もがそれ以上に増加したことから経常収支比率及び医業収支比率は減少した。医業収益における前年度対比では、入院患者一人1日当り372円増加し、外来患者一人1日当り510円増加したことから医業収益は、前年度対比9,593千円増加となり、病院事業収益は前年度対比116,121千円の増加であった。なお、病床利用率は外科の常勤医師を富山大学附属病院から派遣してもらったことで外科入院患者が増加したものの、内科、整形外科及び神経精神科で減少したことにより利用率が低くくなっている。医業費用においては、給与費で給与改正、昇給等の増加と保険料率の改定により法定福利費が増加したことから医業収益対給与費の比率が高くなった。材料費では、外科の入院・外来患者の増加に伴い、抗がん剤治療件数の増加及び高額薬剤の切替えにより医業収益対薬剤費の比率が高くなった。その他の経費では、前年度と比較して30,636千円増加となり主な要因は、給食委託事業者を変更による増加や、修繕費の医療ガス供給源設備修繕、透析室RO水製造装置部品交換修繕費等により増加している。今後は引き続き、費用対効果を意識して経費率の改善を図り健全経営への取り組みを継続したい。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率や機械備品の減価償却率は平均よりも高めであり懸念しているが、経常損益が赤字であることから、できるだけ修繕をし機械備品の利用年数を延伸するように努めている。必要な機械備品については計画的な機器の更新を行っており、優先順位などについて現場や経営会議等で常に検討している。
全体総括
経常収支比率については前年度対比で0.9%減、医業収支比率については前年度対比で3.4%減となっており、主な要因は、給与費76,571千円増、材料費(抗がん治療件数増加及び高額薬剤切替等34,379千円増、経費委託料(給食委託事業者の変更等)30,636千円増であり医業費用の増額となった。医業費用の増により累積欠損金も前年度対比で6.6%増となっている。