経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は100%以上を継続しており、経営の健全性は保たれています。しかし、今後は管渠の更新に係る経費が増加することが予想されるため、健全な経営状況を保つことは厳しくなると考えられます。よって、更なる費用削減や費用の平準化によって、健全な経営を図る必要があります。④企業債残高対事業規模比率は、類似団体の平均値と比べ大幅に低く良好な状況にあると考えられます。これは、地方債の償還額がピークを過ぎたことによるものです。また、年々減少傾向が続いていましたが、平成29年度は前年度比で約45%増加しております。これは、一部の大口使用者からの使用料収入が一時的に減少したためと考えられます。⑤経費回収率は100%以上を継続しており、良好な状況です。汚水処理に係る費用を下水道使用料収入で十分に回収できています。平成29年度は前年度比で約13%減少しておりますが、④と同様に一部の大口使用者からの使用料収入が一時的に減少したことが原因と考えられます。⑥汚水処理原価は類似団体の平均値と比べ低く、良好な状況です。効率的な汚水処理が実施されています。平成29年度は前年度比で約5円増加しておりますが、④と同様に一部の大口使用者の有収水量が一時的に減少したためと考えられます。⑧水洗化率はほぼ100%に達しており、汚水処理が適切に行われていることを表しています。以上の分析結果から、武蔵村山市下水道事業の経営の健全性・効率性は保たれていると言えます。
老朽化の状況について
③平成29年度については、管渠更新の実施はありませんでした。しかし、市内で最初に整備した管渠は敷設から40年以上が経過しており、近い将来、管渠の標準的な耐用年数50年に達することとなります。そこで、平成30年度は「ストックマネジメント計画」の策定を実施しました。今後は、国費要望等を行ったうえで、平成32年度から施設の老朽度調査を開始し、将来負担をなるべく平準化し、計画的に改築更新を実施する予定です。・管渠の改築更新について本市の下水道整備は昭和58年度をピークとして平成初頭までの間に集中的に整備されました。よって、管渠の改築更新の事業量も短い期間に集中することとなります。
全体総括
上記の分析結果から、平成29年度決算における武蔵村山市の下水道事業は、使用料収入については一時的な減少となりましたが、全体的には安定した経営を行っていると言えます。しかし、近い将来、管渠の改築更新に係る費用の増加が予想されます。また、収入面では近年の節水意識の影響による下水道使用料の減少が懸念されます。対策としては、2で述べた「ストックマネジメント計画」に基づいた管渠の改築更新による費用平準化により、単年度の支出の削減を行います。収入面では、平成27年度から使用料の一部を基金に積み立てることで、将来負担の財源を確保するよう努めています。また、経営の効率化・経営状況の明確化を図るために、平成32年度から地方公営企業法の一部適用を予定しています。