経営の健全性・効率性について
収益的収支比率については、令和5年度に迎える公債費のピークを過ぎた後、改善していく見込みであるが、施設の老朽化による修繕費用の増加も見込まれるため、大幅な改善は見込めないものと思われる。企業債残高対事業規模比率は、企業債残高の全額に一般会計繰入金を充てているため例年同様0.00%である。平成28年度の比率は算定誤りであり、実質は0.00%である。経費回収率は向上し、類似団体平均及び全国平均を超えた。有収水量は減少傾向にあるが、汚水処理費も同様に下がっていることが要因である。汚水処理原価は、全国平均、類似団体平均及び当市の昨年度の数値を下回っている。経費回収率同様に汚水処理費が減少したことにより数値が下がった。今後も同程度の数値で横ばいに推移していくと見込まれる。施設利用率については、50%前後で横ばい状態である。物理的に公共下水道に接続が可能な処理場については、公共下水道へ接続し、処理場を廃止することも検討中である。水洗化率については例年微増を続けているが、依然として低い数値である。水洗化率向上のため、地元の管理組合と合同で接続普及のための臨戸訪問を行っている。
老朽化の状況について
平成30年度同様に平成10年度に供用開始した地区の管渠更生工事を実施したため0.19%となった。令和2年度においても平成30年度及び令和元年度に引き続き同地区の更生工事を行う予定である。処理施設の老朽化が甚だしく、修繕での対応が困難な機械類が多くなっているため、計画的な更新が必要な状況にある。
全体総括
当市では、維持管理費の一部を一般会計繰入金により賄っており、良好な経営状態とは言いがたい。大規模な修繕が発生するごとに経費回収率が低下し汚水処理原価が増加するが、施設の老朽化が進み修繕工事の必要性が年々高まっていることから、今後もそのような傾向が続くことが予想される。対策として、平成28年度に料金改定を実施し、平成29年度より汚泥の処分を公共下水道の処理場で行っている。さらに令和2年度から地方公営企業法の適用がされたため、経営分析等を通じて、持続的な事業運営に努める必要がある。