経営の健全性・効率性について
①経常収支比率類似団体平均と同水準であるが、経常収益のうち約19%が基準外繰入金であり、一般会計からの繰入金に大きく依存した状態である。経費節減等の費用の削減と料金改定等による収益の増加に向けた取組が必要である。③流動比率流動比率が100%を大きく下回り、支払うべき負債に対して短期的な支払能力が不足している。流動資産に1年間の下水道使用料を加えても流動負債の額を下回り、短期的な支払い能力の観点からも一般会計からの繰入金に依存している。料金改定等、現金の確保に向けた取組が必要である。④企業債残高対事業規模比率類似団体と比較して高い水準になっている。原因としては、積極的な公共下水道の整備による企業債の発行や、類似団体と比較して使用料水準が低いことなどが考えられる。今後も管渠や施設の改築更新による企業債の発行が見込れるため、定期的な料金設定の見直しが必要である。⑤経費回収率類似団体平均と比較し低い水準にあり、汚水処理経費を料金収入で賄えていない状況が続いている。今後も管渠や施設の改築更新等が見込まれ、汚水処理経費の増加が想定されるため、定期的な料金設定の見直しが必要である。⑥汚水処理原価分流式下水道等に要する経費に対し、一般会計からの繰入を行うことにより、安定した汚水処理コストを維持している。しかし、今後改築更新等が見込まれ、汚水処理費の増加が予想されるため、水洗化率を向上させ有収水量を増加させる取組が必要である。⑧水洗化率類似団体平均と比較して高い水準となっている。しかしながら100%には及ばず、今後も水洗化率の向上に努めていく必要がある。
老朽化の状況について
当市において法定耐用年数を超えた管渠はないが、平成28年度には硫化水素が原因と思われる管渠の腐食があったことから、管渠の改築工事を実施した。今後、法定耐用年数に到達する管渠があることから、改築等の財源確保や経営に与える影響等を踏まえて、経営改善の実施や投資計画等の見直しを行う必要がある。
全体総括
汚水処理費を下水道料金で賄える料金水準になっていないことから、基準外繰入金に頼った経営行っている状況である。当該状況を是正するため、平成27年度に料金改定を行い、一定の改善が見込まれたものの、依然として経費回収率は類似団体平均より低く、不足額を補てんする状況の解消には至っていない。今後は改築更新等が見込まれ、汚水処理費の増加が見込まれることから、更新費用等の確保や安定的な財政運営のために、適正な料金水準の確保に努める必要がある。