経営の健全性・効率性について
「①経常収支比率」は100%を上回り、「②累積欠損金比率」は0%を継続し、「③流動比率」についても100%を上回るなど、類似団体平均値を上回り、安定的な経営状況を維持している。また、「④企業債残高対給水収益比率」は、平成30年度は3年ぶりに企業債借入を行い、管路の耐震化を進めたが、類似団体平均値との比較では、引き続き低い数値となっている。効率性の視点で、まず「⑤料金回収率」は100%台に回復し、経営に必要な経費を水道料金で賄えている。また、有収水量1㎥あたりにかかる費用である「⑥給水原価」については、類似団体平均値よりかなり低い状況にあり、効率的な給水を実施できている。このほか、「⑦施設利用率」については、配水量の増加を見込み難い状況にあることから、適切な施設能力を見極め、施設更新時にダウンサイジングを検討する必要がある。施設の稼動が収益につながっているかを判断する指標である「⑧有収率」は、特に過去3年間においては95%以上の高数値で推移しており、全国平均、及び類似団体平均値の数値を上回っているが、今後はこの水準を維持していくことが重要となる。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」は40%程度となっており、類似団体平均と比べて資産の老朽度合いが低い状況にある。「②管路経年化率」は類似団体平均値と比較して、1/8程度となっており、管路の更新事業も進めていることから、健全性が高く保たれている状況となっている。「③管路更新率」は、類似団体と比較して低い状況にあるものの、年々増加傾向にある。これは、管路更新計画に基づき、老朽管の更新を進めていることが主な要因である。
全体総括
経営の健全性及び効率性に係る指標を分析すると、蕨市の経営状況はおおむね健全な状態であるといえる。しかし、事業を取り巻く環境としては、人口減少や少子高齢化などによる水需要の減少が想定される中で、経年化施設の更新や大規模災害に対する応急給水・応急復旧の整備を適切に履行していく必要がある。このような状況の中、蕨市水道ビジョン(後期実現計画)に基づき、主要管路の耐震化や水道施設の長寿命化、応急給水体制の整備などを計画的に行っている。併せて料金収入についても、企業債残高の低減など健全経営に向けた取組みを進め、『将来にわたって健全な水道』の更なる強化を図っていく。