経営の健全性・効率性について
本市の給水人口は昨年度比0.07%の緩やかな減少となっています。節水意識の高まりや節水機器の普及などに伴う水道使用量の落ち込みにより、水道料金収入の減少が続いておりましたが、平成28・29年度は前年度と比較して僅かながら増加となりました。平成29年度においては、記録的な寒波の到来により、水道管の凍結を防止するための夜間における水道の利用が影響していると考えられます。①経常収支比率は100%を上回っており、収支は黒字となっています。②累積欠損比率では、直近5年間で欠損金を計上していません。③流動比率は100%を上回っており、短期的な債務に対する支払能力を有しています。④企業債残高対給水収益比率は、企業債の発行を抑制してきた時期があり、85.90%と類似団体平均値と比較すると低い水準を維持しています。⑤料金回収率は、100%を上回っており、昨年度とほぼ同等の数値となっています。⑥給水原価は、類似団体平均値を下回っており、昨年度とほぼ同等の数値となっています。⑦施設利用率は、類似団体平均値と比べて低く、60%を下回る水準が続いており、給水能力に余裕が生じている状況となっています。⑧有収率は、年間総配水量に占める水道料金収入などの収益に結びつく水量の割合ですが、90%を上回る水準が続いています。
老朽化の状況について
鴻巣市の水道は、昭和37年(1962年)12月に給水が開始されて以来、発展を続ける市勢の水需要に対処するため、5次にわたる拡張工事を行ってきました。その結果、市内の管路延長は約565kmで、順次更新時期を迎えます。①有形固定資産減価償却率は、48.39%となっており、上昇傾向にあります。②管路経年化率は、類似団体平均値を下回っており、他団体と比べて法定耐用年数を経過した管路が少ないといえます。7.60%とH28年度より大きく増加しておりますが、昭和52年度に導水管が増加し、本年度に耐用年数を経過したことが要因です。③管路更新率は管路の更新ペースを示す指標であり、平成27年度より大きく減少しておりますが、石綿セメント管の布設替えが概ね完了したこと、事業計画の再構築のために布設替え工事を抑えたことが要因です。
全体総括
経営の健全性及び効率性に係る指標を分析すると、当市の経営状況はおおむね健全な状態であるといえます。しかし、近年の料金収入は横ばいを維持しているとは言え、まだまだ減少が懸念される中、高度経済成長期に建設した水道施設が更新時期を迎え多額の資金が必要であり、事業を取り巻く環境は厳しい状況にあります。老朽化の状況においては、今後更新時期を迎える管路が増加することが考えられます。このような状況において、一層の経営の効率化により必要な財源を確保し、施設の適正な維持保全や需要に見合った施設規模の適正化を図りながら老朽化した水道施設を着実に更新し、事業を継続していくことが課題です。このため、H29年度に策定した鴻巣市水道事業ビジョンに沿って事業を着実に推進し、これらの課題の解決に取り組んで参ります。