地域において担っている役割
吾妻構想区域で、唯一の精神科病院として、地域における、精神医療の中核を担っている。年度末において、入院患者の75%が吾妻郡の住人である。地域に根差した精神科病院として、他医療機関をはじめ、精神障害者の保健福祉に関わる、各関係機関、介護施設等と連携を密に図り、精神障害者が地域で安心して暮らせるために、医療を提供している。過疎化、高齢化が著しく、認知症の高齢者も増加傾向にあり、地域包括ケアシステムにおける、精神医療面での役割も大きくなっている。患者さんの支援会議を開催し、より良い医療を検討するなど、ネットワークを構築する役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
当年度経常収支比率増は、新型コロナウイルス関係で、医療従事者に対して、厚生労働省より補助金11,400千円、県より支援金13,150千円、県医師会より慰労金300千円の計上があった。開院依頼の黒字経営で累積欠損金はなく、病床利用率も86%以上であり、全国平均、類似病院より上回っている。職員給与費対医業収益比率は類似病院平均値より、25ポイント下回っており健全な経営状態を保っている。外来患者1人1日当たり収益は毎年類似病院を上回っているが、入院患者1人1日当たり収益と、材料費対医業収益比率が今後、改善に向けての検討項目である。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は全国平均・類似病院とほぼ同じになり、築43年経過しており、建具・配管など経年劣化による不具合が頻発している。器械備品は医療行為に支障をきたさないよう耐用年数をみながら、買い替えを行っている。1床当たり有形固定資産は全国平均、類似病院より大きく下回っており、健全性は確保されていると考えられる。
全体総括
指定管理者制度の利用料金制を導入しており、指定管理者である吾妻郡医師会とも、契約更新し、安定した経営状態である。精神科病院として入院・外来を中心とした精神医療の提供を行っており、精神保健福祉士による訪問看護も定着している。地域医療を担う精神科病院として、他医療機関等の協力を得てより充実した、質の高い精神医療の提供に努め、末永く存続しなければならないと考えている。そのため、これまで同様、経営の効率化や諸経費削減に努め、黒字経営で健全・安定的な経営の継続を図る。