地域において担っている役割
吾妻構想区域で唯一の精神科病院として、地域の精神医療の中核を担っている。入院患者の8割弱が圏域内の住民であり、地域に根ざした精神科病院として、行政、他医療機関等との連携を強化し、精神障害者が安心して吾妻地域に住める医療の提供を行っている。また、ケアマネージャーや行政の介護担当者等、高齢者の地域生活を支援する方々との連携を図り、入院患者や支援が必要な通院患者に対する支援を議題とした会議を開催し、より良い支援のあり方を検討するなど、ネットワークを構築する役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
開院以来、黒字経営で累積欠損金はなく、病床利用率も90%弱を維持しており、施設も有効利用されている。なお、精神医療に要する経費の一部については、総務省の定める繰出基準に基づき、構成町村と調整の上、一般会計から繰入れしている。入院患者1人1日当たり収益は類似病院の平均より下回っているが経年減少はしていない。現状、作業療法やデイケア等を行っておらず、実施できれば加算による収益増が見込めるところであるが、そのために必要な専門職の確保が地域的に困難である。看護補助加算の格上げを行うなど診療報酬の増に努めているところである。外来患者の単価は類似病院の平均より上回っている。
老朽化の状況について
平成26・27年度2ヵ年で病棟入替工事を行い、今後需要が見込まれる高齢者に対応した病棟の入院設備を15床拡充する一方、空床率の高かった開放病棟を15床縮小し、経営の効率化を図った。また、衛生面を改善するため、厨房棟の増改築も行ったことにより、減価償却率が一時的に下がったが、経年徐々に増加している。
全体総括
精神科病院として入院・外来を中心とした精神医療の提供を行っている。指定管理者制度の利用料金制を導入しており、指定管理者である吾妻郡医師会とも契約更新し、安定した経営がされている。医療圏内の病院等との協力により、より充実した精神医療を提供し、地域医療の貢献に努めていく。また、黒字経営が維持できるよう、これまでの経営ノウハウを活かしつつ諸経費の削減に取組み、健全で安定的な経営の継続を図っていく。