経営の健全性・効率性について
本町の下水道事業は、町内に流域下水道の終末処理場があることから、町内全域が下水道計画区域という特徴があります。このことから投資規模が大きくなる傾向にあり、使用料収入等に対する地方債残高の割合を示す「企業債残高対事業規模比率」は、類似団体との比較でも高い数値で推移しており、債務残高が高いことを示しています。単年度収支の状況を示す「収益的収支比率」は、使用料収入に対し、元利償還費が過大となっていることが影響し60%前後で推移しています。単位当たりの汚水処理費を示す「汚水処理原価」は、類似団体と比較すると低い数値で推移しており、比較的良好な状況にあるものの、全国平均には劣るため、維持管理費等の削減を図るとともに、不明水量を減らし、有収率を向上させる取り組みが課題です。使用料で回収すべき経費をどの程度使用料収入で賄えているかを示す「経費回収率」は、企業会計移行による打切決算の影響により前年比較で減少しています。また、近年は類似団体の平均値が上昇したこともあり、平均値を下回る値で推移しており、80%に満たない状況が続いていることから、今後、料金の適正化に取り組む必要があります。整備済み区域内の人がどの程度接続しているかを示す「水洗化率」については、接続済人口数を精査した結果、前年度から大幅に減少したものの、比較的良好な状況です。水需要の減少、節水意識から世帯当たりの使用量は減少傾向にあり、使用料収入は依然厳しい状況にあります。経営の健全化、効率化に向け更なる取組が必要です。
老朽化の状況について
本町は町単独の終末処理場、ポンプ場を保有しておらず、自主管理する下水道施設としては道路内に埋設している下水道管渠が主なものとなっています。供用開始から30年以上経過しているものの、耐用年数を経過しているものは少なく、施設の老朽化は、それほど進行していない状況です。
全体総括
各指標とも類似団体との比較では「企業債残高対事業規模比率」を除くと大きな隔たりはないものの、全国平均に劣る項目が多く、改善が必要であるといえます。「経費回収率」が8割に満たず、類似団体平均、全国平均ともに下回っているのは、料金設定が低いことが要因と考えられます。将来にわたり経営の健全性を確保するためにも、料金の適正化に取り組む必要があります。令和2年度から公営企業会計に移行していますが、今年度策定する経営戦略に基づき計画的な事業運営を図ります。また、公共下水道区域(主に市街化区域内)の下水道整備は概ね完了しているため、今後は既存施設の適切な維持管理、老朽施設の更新が重要な課題となります。現在は施設の修繕に要する費用は少ない状況にあるものの、今後、施設の老朽化が段階的に進むため、長寿命化計画を策定するなど、老朽化対策を計画的に進める必要があります。