経営の健全性・効率性について
農業集落排水事業については、下水道料金により、業務に係る経費や施設の整備・維持管理に必要な経費の多くを賄う、独立採算の原則のもと運営されています。しかし、現在の経営状況については、左図⑤のとおり使用料金収入による経費回収率が4割から5割前後であり、一般会計からの繰入に頼らざるを得ない状況となっております。原因としては、2010年度に供用開始となった小倉地区農業集落排水の接続率がまだ低いことにより料金収入が低いことと、上野田地区及び北下南下地区農業集落排水処理施設の老朽化による機器修繕費が増加していることによるものと考えられます。また、左図④のとおり、料金収入に対する企業債残高の割合についても、残高の規模が平均を大きく上回っています。これは、小倉地区の接続率が低いことに加え、上野田地区及び北下南下地区の接続制限による料金収入の伸び悩みもその要因となっています。今後の対策としては、小倉地区の接続を推進していくことにより、平均を下回っている水洗化率を向上させ、料金収入を増やすことにより、経費回収率を上げていきたいと考えております。また、処理施設の機器修繕に関しては、老朽化した機器について優先順位をつけて修繕することにより、緊急対応の回数を減らし、適切な維持管理に努めるよう努力いたします。
老朽化の状況について
吉岡町農業集落排水事業については、法非適企業であるため、減価償却等を行っておらず、管渠老朽化率については算出されておりません。しかし、上野田地区については1996年度から供用開始となっており、供用開始から20年以上が経過していることから、施設及び管路の老朽化は進んでいると考えられます。このことについて、2007年度から不明水対策調査に取り組んでおります。内容としては、管路内カメラ調査を毎年700m程度行っており、異常・破損等が確認された箇所については修繕を行っております。今後の計画としては、北下南下地区農業集落排水(2002年度供用開始)の不明水調査を行う予定になっております。
全体総括
近年、節水意識の高まりや節水型家電等の普及により、接続率は向上しているものの、料金収入についてはほぼ横ばいとなっております。そのような状況でも、処理施設の老朽化は着実に進行しており、老朽化により破損する機器の数も増えております。このことから、今後は中長期的な視点を持ち、老朽化施設の更新等を進めると同時に、より一層の経営の効率化を図っていく必要があります。2016年度に行った機能診断調査では、現況の施設及び管路の状況把握調査を実施し、2017年度に策定した最適整備構想では、ストックマネジメントの考え方に基づき施設への投資・修繕等を計画立てて行うことにより、費用の平準化を行うことができます。これらを活用し、より適切な運営ができるよう努力を続けてまいります。また、将来的に公共下水道区域への編入を予定しております。