経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、給水収益や他会計補助金等の収益(経常収益)が維持管理や支払利息等の費用(経常費用)をどの程度賄えているかを表す指標で、110.70%とほぼ全国平均です。料金回収率を見ると、96.7%で100%を下回っていることから、給水に係る費用が給水収益以外に他の収入(他会計補助金や長期前受金戻入)で賄われている状態です。また、経常収支比率、料金回収率共に、前年度より減少しており、ここ5ヶ年度において4ヶ年度は、給水原価が供給単価を上回る逆ざやの状態です。有収水量の増加が見込めない状況から考えると、給水収益の回復は見込みがたい状況であることから、維持管理費等の経常費用の削減による経営改善が必要です。②流動比率については、短期的な債務に対する支払能力を表す指標で全国平均以下となっています。H26年度より極端に減少しているのは、公営企業会計制度の改正により、借入資本金が資本から負債に計上されることになったこと等によるものです。また、給水収益に対する企業債残高の割合を示す企業債残高対給水収益比率については、企業債残高の減少により改善傾向にあります。③施設利用率は、一日配水能力に対する一日平均配水量の割合で、高い数値であることが望まれ、78.45%と全国平均の60.03%を上回っており、施設の利用状況としては適正であると思われます。しかし、有収率については、80.67%と全国平均を大幅に下回っており、施設利用率は高い状況ですが、有収率が低水準であるため収益につながっていない状態であり、そのためH27年度より給水区域内での漏水調査を実施しており、徐々に有収率は改善されてきています。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、資産の老朽化度合いを示しており、100%に近いほど保有資産が法定耐用年数に近づいているということであり、46.48%と全国平均以下です。また、管路経年化率も17.60%と昨年度よりも大きく上昇しており、かつ管路更新率も0.08%と非常に低い状態であり、今後も経年化率が上昇していくことが予想されることから、このままでは全ての管路を更新する前にほとんどの資産が法定耐用年数を迎えてしまう状況に陥ることになります。そのため、優先度を考慮した上での計画的な更新に努めていきます。
全体総括
人口減少により給水収益の大きな増加が見込めない状況にある一方で、維持管理費等が今後増加していくと考えられます。それらに対応するため今年度より水道料金の改定をしましたが、漏水修理や老朽管の更新のための費用が増加し、給水に係る費用を給水収益のみで賄うことができていません。今後も法定耐用年数を迎える有形固定資産は増加していくため、計画的な資産の更新・整備、耐震対策を進めていく必要があります。常に安全で良質な水を安定して供給するために、施設の更新・整備を計画的に推進していくことはもとより、経常費用の削減に努めるほか、企業債残高の削減を図るなど、限られた財源の重点的かつ効率的な配分により健全経営を目指していきます。