経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率については、支払利息などが減少したことに伴い総費用が減少したことや、令和2年10月にコミュニティプラント地区から公共下水道への切り替えに伴う下水道使用料の増加により、昨年度と比較して数値が回復したものと考えられる。⑤経費回収率は、昨年の数値から微増となっており、類似団体と比較すると高い値となっているが、全国平均には届いていない状況が続いている。⑥汚水処理原価については、昨年度とほぼ同額となっており、類似団体平均値より約20円低く抑えられているが、全国平均と比較すると高い数値となっている。⑧水洗化率は、下水道の新設工事や、戸別訪問などの接続推進事業による新規接続者の増加により、昨年度より水洗化率は増加している。しかしながら、類似団体平均値よりも低い値が続いている状態となっている。上記項目については、今後も下水道新規接続者数や使用料収入の向上のための取り組みを行い、数値の改善を推し進めていく必要がある。④企業債残高対事業規模比率については、類似団体が増加傾向にある中で当町も微増となったが、昨年度とほぼ横ばいの数値であり、類似団体の平均値の半分以下を保っている。しかし、市街化区域においても下水道整備が完了おらず、新設の整備を進めるためにも地方債の借入れは必須であるため、今後も下水道整備の推進と健全な経営の両立をするために、計画的に借り入れを行う必要があると考える。
老朽化の状況について
当町では、下水道の供用開始から約25年を経過しているが、現時点ではすべての管渠で耐用年数に達してはいない状況である。平成30年度から計上されている管渠改善率の数値については、耐震化工事の実施に伴うものである。令和3年度は実施していないが、今後はストックマネジメント計画の作成などを行い、老朽化の進行状況に応じて、適切な修繕時期の把握や実施及び、新設工事等も含めて、当町の公共下水道事業について健全に運営をしていくために、修繕と新設・改良工事を計画的に行っていく必要があると考える。
全体総括
当町では、企業債残高対事業規模比率や水洗化率の数値は他の類似団体と比較すると良好な数値であり、健全な運営ができているように見えるが、実際は一般会計からの繰入金により、収入の一部を補てんしている状況である。そのため、新設工事による公共下水道の拡大を図り、接続推進事業を積極的に行い、下水道接続率の向上と使用料収入の増加に努め、長期的に健全な運営を行える体制を整えていく必要がある。既設の管渠等については、今後、修繕が必要になるものが出てくることは必然であるため、突発的な故障やそれに伴う修繕の必要がないように、耐用年数に達する前から、ストックマネジメント計画等の老朽化対策を実施して、適切に改修等を行い健全な運営を目指していく必要があると考える。