経営の健全性・効率性について
平成16年度以降、大きな整備事業を行っていないため、企業債の借入をしておらず、企業債残高は減少し続けている。平成27年度までは類似団体平均よりも悪い経営状況にあったが、平成28年度より平均と同等もしくは平均より良い経営状況に改善した。ただし、これは「分流式下水道等に要する経費」の適正化に伴う基準内繰入金の増によるところが大きく、実質的には経営状況に大きな変動はない。維持管理費は修繕費の減少により前年比13.2%減少、それにより経費回収率と汚水処理原価は、前年度比より改善となっている。また、施設利用率は平成28年度より低下し、類似団体平均を下回っている。処理区域内の人口減少等による処理水量の減少が主な要因と考えられる。処理区域内の人口が減少傾向にあるため、使用料金を改正しない限り、使用料収入の増加は見込めないが、使用料金は県内一高い(20㎥あたり:消費税込4,290円)のため、使用料金の値上げによる経営健全化は難しい。平成28年度に策定した経営戦略の分析・予測に基づき、より効率的な事業経営を進めていく。
老朽化の状況について
中和田地区の建設事業開始が平成4年、竹森時沢地区の建設事業開始が平成7年と、いずれも、建設から20年以上が経過している。管渠については、早急に改修を行う必要はないが、汚水処理施設の老朽化が進んでいる。マンホールポンプの適切な維持管理を行うため、マンホールポンプのクラウド監視を平成29年度に着手、計画通り令和元年度に完了し、運転状況等の把握を行っています。
全体総括
事業開始から20年以上経過し、整備事業がほぼ完了したことから、経営状況も安定している。ただ、事業規模が小さい上に、処理区域内の人口が減少していることから、今後は経営状況の悪化が心配される。また汚水処理施設の耐用年数も迫ってきている。使用料収入の増収が見込めないことから、今後は、適切な収支計画を立てる必要がある。また、平成28年度に策定した経営戦略により施設老朽化への対応や維持管理の効率化などを進める予定である。状況を見据え、公共下水道への接続を検討していく。また、令和6年度から法適用へ移行するため、令和2年度より移行業務に着手しています。