経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、106.9%であり100%を上回っているが、今後は人口減少に伴う収益減が見込まれる。経費削減等により維持に努める。②累積欠損金比率は99.8%と高い水準である。類似団体平均と比較すると低いが、収支改善により累積欠損の解消をする必要がある。③流動比率は23.1%である。類似団体平均と比較しても低い。預金・現金は少ないが、多額の企業債償還金があるためである。当面は一般会計繰入金により、資金不足に陥らないようにする必要がある。④企業債残高対事業規模比率については、使用料収入の減少と、地方債現在高に対して一般会計が負担する償還額が減少したため比率が高い。今後は費用の抑制と収入の確保が課題となる。⑤経費回収率は正しくは44.4%であり、類似団体平均を下回っている。今後人口減少に伴う収益減が見込まれるため、経費削減等に努めていく。⑥汚水処理原価は正しくは359.6円であり、類似団体平均を上回っている。改善のため、有収水量の維持に努め、引き続き費用の抑制を図っていく。⑦施設利用率は44.2%と、類似団体平均と比較して低い。当該施設は高齢者世帯の多い地域にあり、新規の接続は年に数件程度に留まっていることから、今後も大幅な向上は見込めない。⑧水洗化率は、82.3%であり、類似団体平均と比較して低い。高齢者世帯が多い地域であるため、今後も大幅な向上は見込めない。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は3%と、類似団体平均との比較においても低くなっているが、令和2年度から法適用したため、法適用前の減価償却累計額を記載していないためである。農業集落排水処理施設及びマンホールポンプの運転管理・保守点検は専門業者へ業務委託しており、器具類が故障した際はその都度修繕・更新を行っている。なお、市内2か所に設けた農業集落排水処理施設のうち、一部管渠の改築が必要となった箇所があるため、令和元年度から3か年計画による改築工事に着手している。
全体総括
当市の農業集落排水事業は公共下水道事業と併せて令和2年4月1日に公営企業会計へ移行した。市内2箇所に設けた農業集落排水処理施設は、共に今後人口減少の影響を受けることが予想される地域にあり、水洗化率を維持し有収水量を確保することが課題である。平成29年3月に策定した経営戦略の改定及び適正な料金設定について具体的な検討を開始していくとともに、老朽化した処理施設の計画的な更新を行い、適切な維持管理に努めていく。