経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率において単年度収支が赤字を示していることについて、本市の処理区域内の人口密度は25.3人/haと公共下水道事業を行う上では非効率な地域であることに加え、地盤が緩いために工事費が割高となる傾向があることが当該比率を下げていることの最大要因と考えている。④企業債残高対事業規模比率について、類似団体より高い状態であるが、地盤が緩いために工事費が割高となること、東日本大震災により大幅に落ち込んだ料金収入が未だ回復していないことが要因に挙げられる。加えて料金改定も震災以降見送っていることから、当該比率の回復には時間を要すると思われる。⑤経費回収率について、類似団体平均には及ばないが年々上昇傾向にある。現在も下水道区域を拡大しており順次供用開始しているが、接続率が上がり安定した料金収入につながるまでは時差が生じるため、数値の変動はやむを得ないと考えている。類似団体平均に近づいてきたが全国平均には遠く及ばないため、使用料の改定を検討するにあたっては留意する必要がある。⑥汚水処理原価について、接続率が伸びていることで有収水量が増え、徐々に類似団体平均に近づきつつある。今後も普及促進を図り有収水量を確保し、効率的な運営に努める。⑧水洗化率について、年々微増傾向が続いているが類似団体平均には及ばない。本市は高齢者世帯も多く、供用開始しても接続に至らない家屋が多いことも一因と考えられる。
老朽化の状況について
平成26年度に処分制限期間である20年を超える管路施設について長寿命化計画を策定し、当該計画に基づき、平成28年度から平成30年度までの3ヵ年で管渠の更新及びマンホール蓋の取替えを実施する予定である。以後についても、処分制限期間を超える管路施設については、随時長寿命化計画を策定し、計画的な管路の更新を図ることとしている。
全体総括
全般的に改善傾向が見られるものの、各指標とも類似団体平均値には及ばず、その経営は健全とは言い難い状況である。今後は営業収益の確保と公共下水道への接続率の増加が課題である。使用料の改定を視野に入れつつ普及促進を図り、公共下水道事業の安定経営に向けた取組に尽力する。