経営の健全性・効率性について
①経常収支比率100%を上回っており、水道料金等の収益で維持管理費を含む経費を賄えています。②累積欠損金比率累積欠損金は生じていません。③流動比率短期的な債務に対する支払能力はありますが、全国平均値を下回っています。④企業債残高対給水収益比率企業債発行額を抑制したことで、数値は減少傾向ですが、依然として全国平均を大きく上回っています。⑤料金回収率100%以上で推移し、適切な料金収入を確保しています。※平成27年度の当該値が97.41になっていますが、決算状況調査回答時に関連項目が未記入だったためです。厚生労働省が実施した「平成27年度水道統計調査」の結果を用いて当企業団で試算した結果は104.66となりました。(以下、1-⑥給水原価、2-②管路経年化率、2-③管路更新率も同理由にて試算しています)⑥給水原価減価償却費や資産減耗費等の経費が嵩み、全国平均値よりも高い水準にあります。※平成27年度当該値が228.58になっていますが、当企業団で試算した結果は212.73となりました。⑦施設利用率全国平均と比べても利用率が高く、効率的に施設が利用されています。⑧有収率前年度から減少した主な原因は、漏水量の増加によるものです。有収率は依然として類似団体平均、全国平均を大きく下回っていることから、漏水箇所の早期発見と老朽管更新に努める必要があります。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率全国平均を下回る数値を維持しながら、ほぼ横ばいで推移しており、施設等の計画的な更新により老朽資産が少ない状態といえます。②管路経年化率更新事業を実施したことで、前年度よりも数値はわずかに改善しました。また、全国平均と比較しても大幅に低い数値を維持しています。※平成27年度当該値が0になっていますが、当企業団で試算した結果は4.02となりました。③管路更新率前年度と比較して更新工事件数が多かったことから、更新率が大幅に上昇しました。※平成27年度当該値が0になっていますが、当企業団で試算した結果は0.67となりました。※令和元年度当該値は1.46になっていますが、その後精査した結果、1.15となりました。
全体総括
経営の健全性・効率性からは概ね良好な経営状況であると考えられますが、今後は人口減少が進み、水需要低下により料金収入が減少していく反面、耐用年数を超過した老朽施設の更新などの費用は増加していくと見込まれます。このような状況を踏まえ、水道事業を取り巻く状況の変化に柔軟に対応していくため、平成28年3月に策定した岩手中部水道企業団水道ビジョン(計画期間:平成28年度~令和7年度)を計画期間の中間年度にあたる令和2年度に改訂します。今後は当該水道ビジョンに掲げた事業を着実に実施しながら、効率的な施設・管路更新と経営基盤強化を図り、健全な事業運営を進めていかなければなりません。また、有収率が全国平均を下回っていることから、数値向上のため漏水箇所の早期発見、早期修繕はもとより、法定耐用年数にこだわらない漏水多発管路の優先的更新に引き続き取り組む必要があります。