経営の健全性・効率性について
三沢市の農業集落排水事業は、平成14年度に西部地区、平成20年度に東部地区、平成25年度に南部地区が供用開始した。現在の加入率は西部地区94.1%、東部地区80.9%、南部地区48.9%となっている。今後も接続率の向上の余地はあるが、過疎化や節水型機器の普及といった要因から、将来的に大幅な増収を見込むことは難しいと考えられる。①収益的収支比率についてはほぼ横ばいに推移しているものの、収入の約8割を一般会計の繰出金に依存している。また、⑤経費回収率においても、6割程度で推移しており、残り4割を一般会計の繰出金で賄っている状況である。④企業債残高対事業規模比率については、建設事業が終了し、営業収入が使用料収入のみのため、地方債償還まで賄うことができず、企業債償還に要する経費は全額一般会計繰出金にて対応している状況であるため、当該値は0.00で推移しておりグラフには表示されない。⑥汚水処理原価については、費用の削減により多少下がったもののほぼ横ばいに推移している。今後汚水処理施設や管渠の経年劣化に伴い、更新改良が必要になっていくことが予想されることから、有収水量の増加に繋がる加入率の向上に向けた取り組みが必要である。⑦施設利用率、⑧水洗化率については類似団体と比較すると下回っていることから、加入率の向上に向けた取り組みが必要であるとともに適正な経営ができるよう努力する必要がある。
老朽化の状況について
平成13年度に西部地区の事業が完了、平成19年度に東部地区の管路工事が完了、平成24年度に南部地区の事業が完了し、それぞれ翌年度に全面供用開始している。現在のところは、施設の老朽化や災害等による破損も認められないため管渠の更新は行われていないが、今後汚水処理施設や管渠の経年劣化に伴い、更新改良が必要になっていくことが予想され、老朽化の状況を適切に把握し、更新が先送りになることのないよう、効率的な維持管理や投資・財政計画について検討する必要がある。
全体総括
当市の農業集落排水施設は、一番古い西部地区浄化センターで供用開始から20年ということで施設や管渠の老朽化は進んでいないと考えられるが、東日本大震災の津波等を受けていることから、今後、汚水処理施設の耐震診断や経年劣化による機械設備等の更新が必要となってくる。南部地区浄化センターの処理区域は供用開始後7年しか経っていないことから、今後も接続率の向上が見込まれるが、たとえ全世帯が接続したと仮定しても、使用料と基準内一般会計繰出金だけでは収益的収支総費用全てを賄うことは困難であり、基準外一般会計繰出金に依存することには変わりないため、独立採算性の実現のためにも料金体系の見直しの検討、民間活用や施設の統廃合といった部分も視野に入れ、経営改善に対する努力をしていく必要がある。