地域において担っている役割
当院は三沢市及び周辺町村の基幹病院として急性期を中心とした二次医療の提供を行うとともに、広域の在宅医療を含めた地域医療の後方支援病院としての役割を担っている。また、地域における保健医療福祉の一体的サービス提供のための拠点機能を有し、緊急性の高い循環器系疾患や腎臓透析に対する機能強化を行い、より精度の高い医療の提供を行っている。更に、基幹型臨床研修病院及び弘前大学医学部附属病院の協力型臨床研修病院として、臨床研修体制の一翼を担い、地域医療水準の向上に寄与している。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率、医業収支比率は類似病院平均値を下回っており、累積欠損金比率はH30年度より7.3ポイント増加している。病床利用率は年々減少傾向にあり、R1年度は2ポイント減少したが平均以上で推移している。病床利用率は新型コロナウイルス感染症流行を受け1月から緊急性の低い患者の入院を中止または延期し、感染症対策を講じたため減少となった。医業収支比率、入院患者1人1日当たり収益は増加傾向にあるものの平均を下回っている。職員給与費対医業収益比率は類似病院を下回ったまま推移しており、適切な給与費設定となっているものと考えられる。材料費対医業収益比率においては後発医薬品の積極的採用等によりH30年度より0.8ポイントの減少となったが、手術件数の増加に伴う診療材料費の増加等により依然として平均を上回っているため、更なる改善に向けた検討が必要である。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は類似病院平均値より5.8ポイント下回っているが、H22年の新築移転から9年が経過したことにより、徐々に平均に近づきつつある。器械備品減価償却率は器機設備の償却が進んだことにより、H30年度より4.4ポイント増加している。耐用年数を経過したものも修繕ながら使用しており、今後も引き続き可能な範囲で更新していく。1床当たり有形固定資産は、平均より高い傾向にある。これはCT、MRIなどの検査機器保有のほか、H22年の新築移転、H26年のPET-CT画像診断センターの増築に起因したものである。
全体総括
経営の健全性、効率性については、累積欠損金の増加や病床利用率の減少など課題が散見されるが、前年度と同程度で維持できている。今後減価償却が終了する設備・器機が増え、新設・更新等に伴う費用の増加も見込まれることから、経営状況の改善、健全化に向けた取り組みの強化について検討していく。DPCの導入やクリティカル・パスの拡充により在院日数の短縮化や収益の増収へつなげ、慢性的な医師不足による診療機能低下解消のため、医師の招へいや紹介による集患に注力し経営状況の改善に努めたい。