経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は119.44%であるため、収益で費用を充足し、かつ純利益を計上できており、②累積欠損金比率は0%となっている。一方、③流動比率は71.19%となっており、1年以内に現金化できる資産で1年以内に支払わなければならない負債を賄えていない状況であり、④企業債残高対給水収益比率は715.63%と類似団体平均と比較して高い数値となっている。また、⑤料金回収率については100.90%となり、給水に係る費用を給水収益で賄えているが、⑥給水原価をみると265.02円と類似団体平均と比較して高くなっている。このことから、単年度の収支は黒字ではあるものの、事業の運転資金となる現金を十分に確保できていないため、他会計からの一時借入金などに頼らざるを得ない経営状況であり、有収水量の減少や水の生産に係る経常費用が類似団体と比較して高いことから、給水原価が高くなっていることがわかる。⑦施設利用率は49.61%であり、類似団体と比較して低い数値であるため、施設の統廃合・ダウンサイジング等の検討を行う必要がある。また、⑧有収率は81.83%と類似団体平均とほぼ同じ数値である。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は類似団体と比較し低い数値となっており、資産全体では老朽化は進んでいないように見えるが、②管路経年化率は類似団体平均より高いため、特に管路において老朽化が進んでいると考えられる。そのため、③管路更新率は類似団体平均とほぼ同じ数値であるものの、更なる管路の更新が必要となっていることがわかる。今後については、老朽化した管路について、漏水調査の結果などから緊急度・優先度・重要度を勘案し、計画的な管路更新を行っていく必要がある。
全体総括
根室市水道事業会計では、平成31年4月請求分より料金改定を行ったところであるが、今後も安定的に事業を継続していくためには、人口減少に対応した効果・効率的な事業運営に努めるとともに、人口減少の影響を踏まえた将来的な料金収入の予測及び対策の検討が必要であると考える。