経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率:総収益の40%を一般会計繰入金で賄っている状況であり、要因としては総費用の主な割合を占めている企業債償還金である。今後も施設の老朽化等により更新を行っていくにあたっては、償還金によって経営を圧迫しないように努めなければならない。④企業債残高対給水収益比率:平均値より低い水準であり、要因としては初期投資における企業債償還の終了により減少している。今後の施設の更新では、将来負担の適正化を図りながら計画的な投資を行う必要がある。⑤料金回収率:前年度は新型コロナの影響により徴収が行えず、平均値を下回ってしまった。今年度はコロナの状況を見ながら通常の徴収業務を行い回収率が平均値を上回ったが、60%台と低水準である。また、企業債償還金を料金収入で賄えず一般会計繰入金より補填していることも重なり数値が低い状態である。⑥給水原価:類似団体より低い傾向にあるが、令和元年度においては前年度からの繰越事業の影響により支出が増大し、平均値を上回っている。企業債償還金が総費用の主な割合を占めているため、償還金が減少していくことにより給水原価は低くなると考えられる。⑦施設利用率:利用率は高い傾向にあるが、給水人口が減少する中で有収率70%台であることから、漏水による配水量も多くなっていると考えられる。漏水部分を差し引くことにより利用率は今よりも低くなるとみられ、今後の水需要動向によっては効率的な事業運営計画を検討する必要がある。⑧有収率:類似団体平均と同水準ではあるが、平均的に70%台として高い傾向ではない。無効水量の多くは地下埋設部での漏水と考えられ、継続的な漏水調査を実施することにより、速やかな発見・修繕といった適正な維持管理に今後も努めていく。管路においては老朽化により劣化していくことから、更新も含めて検討する必要がある。
老朽化の状況について
昭和に布設された管路の老朽化が進行しており、更新時期を迎えてきている状況である。管路の更新計画を策定し、効率的かつ計画的な施設更新を推進していく。また、管種については大規模災害に備え、耐震管等を推奨していく必要がある。
全体総括
今後の事業運営においては、水需要動向で給水収益が減少傾向で推移するものと見込まれる。企業債償還金が総費用の主な割合を占めていることから、経営状況は依然として厳しいものと考えられる。厳しい経営収支の見通しを踏まえつつ、事業全般にわたり経営の効率化による経費の節減等を徹底し、財政基盤の安定化を図り、一層の経営努力を重ねるとともにお客様サービスの向上に努めていくべきと考えている。施設整備については、安全・良質な水の安定供給を行うために計画的な施設の更新・整備、効率的な事業運営計画を検討する必要がある。企業債償還金が経営を圧迫しないよう将来負担の適正化を考慮しながら運営していかなければならない。