経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率が対前年度12.81ポイント減となったが、これは、一般会計繰入基準外の繰入は既に黒字の収益勘定にせず施設整備に係る資本勘定への繰出しとして見直し、整理したことによるもので、実質的に悪化している訳ではありません。収益的収支差引は、人口増加等に相まって、黒字(平成27年度決算の場合97百万)を続けていますので、収益的収支比率も上昇して行くものと見込まれます。とはいえ、地方債償還金を考慮したこの収益的収支比率が未だ100%にはほど遠いのが現状です。④料金収入に対する起債残高の割合も減少傾向にありますが、下水道事業が他府県・他団体より遅れて始まり、未だ整備途上にあることから、今後の類似団体比較では、高めになるものと想定されます。⑤の経費回収率は、徐々に改善しているとはいえ、まだ類似団体平均に及びません。⑥の汚水処理原価は、類似団体平均を下回るとはいえ、流域下水道が処理単価を据え置いている事情によるものに過ぎず、近く、この引上げが見込まれることから、このままでは、使用料単価とのバランスが取れないこととなることが懸念されます。⑦施設利用率は、処理場を持つ下水道事業の指標です。当市は処理場を持たないため、この指標は該当がありません。⑧水洗化率は、類似団体平均を約11ポイント下回ります。未だ整備途上にあることと人口増加が続いていることなどから水洗化率には、ほとんど動きはありません。公共水域の保全のため、引き続き、接続促進に努めることが肝要です。
老朽化の状況について
本市の公共下水道事業は、昭和57年に建設が始まり、昭和60年10月1日の供用開始から30年余りであるため、法定耐用年数50年を超える管渠はまだありませんが、施設の長寿命化を図るため、平成27年度に下水道施設長寿命化計画を策定し、平成28年度から計画の実施に取り組んでいます。
全体総括
下水道施設を将来も安定的に提供して行くためには、下水道事業の経営が健全に行われなければなりません。そのために、今、最も必要な課題は、やはり、料金水準の適正化にあると考えています。平成31年度からの公営企業法全面適用に向けて、この課題解消に取り組んで行きたいと考えています。