与論町：農業集落排水施設

経営の健全性・効率性について

与論町農業集落排水事業（下水道事業）の経営状況は、支出（施設の維持管理費や建設時の地方債の利息返済）が収入（施設使用料）を上回り、赤字となっている。そのため、不足額を与論町一般会計から補填し、収入が支出と等しくなるよう繰入を行っており、健全な経営ができていない（表①、⑤）。また、施設の供用開始（平成７年）から２５年が経過し、機械設備が劣化しているため、修繕等の費用がかさみ、今後維持管理費が増加していく可能性が高い。収入と支出のバランスをとるためには、適正な料金設定を行う必要がある。【①単年度の収支】収益的収支比率支出（施設の維持管理費や建設時の地方債の利息返済）が収入（施設使用料）を上回り、赤字となっている。そのため、不足額を与論町一般会計から補填し経営を行っている。【②累積欠損】累積欠損金比率、【③支払能力】流動比率省略【④債務残高】企業債残高対事業規模比率債務残高が類似団体と比較して少ない状況にあるのは、これまで大がかりな更新を行っていないためであるが、平成２８年度に実施した施設の機能診断により、機械設備に劣化があることが判明した。令和２年度より本格的な更新を行っており、債務が増加する見込みである。【⑤料金水準の適切性】経費回収率指標の意味は、使用料で回収すべき経費を、どの程度使用料で賄えているかを示している。そのため、指標が１００％以上となるべきだが、与論町は約５７％となっている。表①で示すとおり、経費の削減や適切な料金設定が必要となる。【⑥費用の効率性】汚水処理原価類似団体と比較して低い値となっている。しかし、１㎥の汚水処理に要した経費が使用料（１㎥あたり９３円（税抜））より高い値となっているため、汚水量が増えると損失が増加する結果となっている。【⑦施設の効率性】施設利用率施設・設備が一日に対応可能な処理能力に対する、一日平均処理水量（晴天時）の割合となっている。与論町の人口減少とともに処理量が減少する事が見込まれるため、施設が遊休状態とならないよう、施設の更新時にダウンサイジング（小規模化）や処理区域の再検討等を行い適切な施設規模を維持する必要がある。【⑧使用料対象の補足】水洗化率水洗化率は１００％を示しているが、古い家屋は単独浄化槽が設置され、洗濯等の排水は処理されずに側溝に直接流れている場合があるため、集落排水への接続を促進する必要がある。

老朽化の状況について

平成７年の供用開始から２５年が経過している。平成２８年度に行った機能診断事業の結果、管路について経年劣化はみられなかったが、処理施設の機械設備に劣化があることが判明した。平成２９年度に最適整備構想策定事業、平成３０年度に調査・計画策定事業を実施しており、それに基づき令和２年度より令和５年度にかけて本格的な更新を行っている。

全体総括

与論町農業集落排水事業（下水道事業）の経営状況は、収支が赤字のため、与論町一般会計から不足額を補填し収支が等しくなるよう繰入を行っており健全経営が行えていない。また、汚水処理原価（１㎥約１８０円）が使用料（１㎥９３円（税抜））を上回っており、汚水処理量が増えると損失も増えるようになっている。今後安定した経営を行うためには、維持管理費の削減に努めながら、利用者や議会のコンセンサスを得て、料金改定を行う必要がある。なお、供用開始以前に建築された家屋の中には、単独浄化槽を設置し、集落排水へ接続されていない場合があるので、加入促進を図り、汚水処理の向上とともに利用者の増加を目指したい。