経営の健全性・効率性について
①経常収支比率…国庫補助金などの営業外収益の増加及び昨年度一時的に増加していた営業費用である資産減耗費の減少により収支は黒字となった。しかし、人口減少に伴う水道料金収入の減少や、地形的な理由に多くの施設を有していることから、維持管理経費及び減価償却費が多額であることに変わりないため、引き続き経常経費削減に向けた取組みが必要な状況である。②累積欠損金比率…元利償還金に対する会計方針の変更に伴い、繰入資本金のうち当該繰入金分の524,609千円を減資し、うち過去に収益化可能であった428,881千円を当年度未処理欠損金へ振替えを行ったことにより累積欠損金は解消した。③流動比率…指標は100%を上回っているものの、比率は平均値を大きく下回っている。資金確保に向けた取組や企業債の抑制などの取組が必要である。④企業債残高対給水収益比率…地形的な理由によって多くの施設を有しており、更新経費の財源となる企業債残高が多額となっている。資産の更新時期及び頻度の見直しや投資経費の抑制など、長期的な視点で建設投資を効率化する必要がある。⑤料金回収率…人口減による減少傾向にある給水収益に対し、施設数が多く費用が嵩み経常費用のバランスが取れていない。料金改定等による給水収益の増加と各種費用の抑制を図る必要がある。料金改定はR2.10月より実施したが、半年間減免措置を行ったため実質的な改定による影響はR3年度からとなる。⑥給水原価…地理的不利な条件により類似団体よりも高く、年間総有収水量の減少などの理由により年々増加傾向にあるため、健全経営のためには、更なる投資の効率化や維持管理費用の削減といった経営改善が必須である。⑦施設利用率…小規模集落が島内各地に点在しているため、一部施設を除き、需要密度が低く、給水区域も広いことから、施設利用率は60%前後と悪い。⑧有収率…有収率についても、地形的条件並びに管路の老朽化から70%前後と低い傾向にある。
老朽化の状況について
本町は、離島という地理的条件に加え、集落が点在している。このため、給水区域が広く、必然的に管路延長も長くなっている。管路の更新については、計画的に実施している状況ではあるが、予算にも限度があり思うように進捗していないため、耐用年数を経過した管路の割合は年々増加しており、老朽化が著しい。また、平成29年度に簡易水道会計から上水道会計へ移行したが、移行後は国庫補助事業の要件が厳しくなったため、投資経費が制限されており、今後も老朽化が一層進むことが予想される。
全体総括
平成29年度において、簡易水道会計から上水道会計へ移行し、公営企業会計が適用されたため、独立採算制を原則とした更なる経営改善が求められる。水道事業の経営改善に向けては、効率的かつ効果的な滞納及び未収金対策を講じ、積極的な確保を図るとともに、漏水調査に基づく有収率の向上を図りつつ、維持管理の見直しによるコスト削減に努め、料金回収率の向上を目指す。また、建設改良事業においては、事業の必要性、優先順位、将来の財政負担等を充分に検討し、中長期を見据えた計画的かつ効率的な更新整備を行なうとともに、工事コストの縮減に努める。