雲仙市：簡易水道事業（法適用）

経営の健全性・効率性について

平成17年10月11日に合併して今日に至るまで、経常収支は黒字を維持してきており、企業債残高の比率も類似団体と比較すると低く、給水に係る費用もある程度給水収益で賄えている状態である。しかしながら、施設の維持管理に必要な給水原価は類似団体と比較すると低めに抑えられており、給水収益に直接影響してくる施設利用率や有収率は低くなっていることから、今後は、施設の効率性について必要な投資を行ったうえで、維持管理に要する経費負担を抑制するなどの見直しが必要である。また、平成19年度に策定した「簡易水道事業統合計画」に基づき、平成29年度にはすべての簡易水道事業を上水道事業へ統合予定であるが、これまで国庫補助及び起債を活用し、簡易水道施設の整備を行ってきたことから、統合後は企業債残高や簡易水道施設に係る減価償却費等に係る経費が膨大に膨れ、経営を圧迫することが懸念されるため、施設の効率的稼動や業務内容についてさらに見直しが必要である。

老朽化の状況について

管路経年比率は、類似団体と比較すると低い数値となっているが、昭和４０年代から５０年代の事業創設当時に、短期間に施設が整備されているため、今後、耐用年数を越える施設が急増する見込みである。管路の更新も一部の地域においては計画的に行っているものの、簡易水道施設の整備が中心になっているため、上水道施設の更新は遅れている状態であり、今後は、こうした施設の大規模更新を行っていく必要があり、この財源をどのように確保するのかが大きな課題となっている。

全体総括

施設創設当初に短期間で整備が行われた水道施設は、管路等の更新が進んでいないため、今後は施設の大規模更期が到来する見込みである。一方、給水人口の減少とともに給水収益も減少が見込まれる中、簡易水道事業を上水道事業に統合することにより、料金収入のみによって経営して行くことは困難となり、経営は一層厳しい状況になるものと思われる。水道事業経営には、安定的な財政基盤を構築することが不可欠であるが、簡易水道事業から上水道事業へ移行後の経営状況を把握するとともに、長期的な投資計画及び財政計画等、将来の経営方針に反映させていく必要がある。