経営の健全性・効率性について
経常収支比率及び料金回収率のいずれもここ数年は、100%を下回っており収支が赤字であることから経営に必要な経費を料金で賄えていない状況である。これは直近5カ年間に財政計画に基づく2度の料金改定(値下げ)を行ったことによるものであり、平成27年度は黒字に転換する予定である。また、累積欠損金は計上しておらず、流動比率は必要とされている100%を常に上回っており支払能力に問題はない。企業債残高対給水収益比率についても類似団体や全国平均を大幅に下回っており、健全性については確保されている。また、有収率は類似団体より高いことから、漏水やメーター不感などが少ない。しかしながら給水原価は、減少傾向にあるものの、類似団体と比較すると依然高い状況である。このことは、受水費中にある用水供給事業側の資本費が類似団体平均より高いことが原因となっている。施設利用率についても類似団体より低くなっているが、これは給水人口密度が類似団体より低いことが原因としてあげられる。このことから、経営の効率性については必ずしも良い状態であるとはいえない。※②累積欠損金比率のグラフでは、平成22年度から平成25年度に累積欠損金を計上していることになっている。これは、算出式に当年度未処理欠損金が用いられており、当企業団の当該年度期末に未処理欠損金を計上したためであるが、利益剰余金で補てんしているので実際は累積欠損金を計上していない。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、類似団体の数値を上回っているので、老朽化が他事業体より進んでいる状況にある。さらに、管路経年化率は、年々増加傾向にあり、管路の更新については、進捗していない状況である。これは、現在、経費削減のため、下水道の工事などの他工事に伴わせた老朽管路の更新を行っているためである。
全体総括
当企業団の末端給水事業は、直近で2度の料金値下げを行ったことにより単年度収支の赤字が続いているが、累積欠損金は計上しておらず、今後は黒字になる見込みである。管路の更新は、今後、当企業団の単独事業として、老朽化した管路を優先的に更新できるため管路更新率は上がる見通しである。なお、管路更新には、多大な投資額が必要となることから、将来の人口減少を考慮すると、ダウンサイジング化等による建設コスト縮減を図るとともに、より一層の経費削減を行うことで効率的な事業経営を行う必要がある。