地域において担っている役割
公立八女総合病院は八女筑後医療圏において、地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院としての役割のほか、救急医療、小児・周産期医療、生活習慣病医療(予防・治療)を中心とした医療サービスを担っている。さらに、新型コロナウイルス感染症に対しても、関係機関と連携し、受入れ病床確保や検査体制の整備、予防接種の推進など、公立病院として積極的に対応に取り組んでいる。
経営の健全性・効率性について
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症及び消化器内科常勤医不在の影響により、入院患者数が減少し病床利用率が大きく低下した。入院単価においては、コロナ陽性患者受入の影響により増加したが、類似病院と比較しても低い数値となっており、経営効率化・改善に努める必要がある。費用では、医業収益の減少により、職員給与費対医業収益比率は昨年度に続き増加傾向にある。類似病院の平均と比べても高い数値となっており、経営効率向上に努める必要がある。累積欠損金比率は低水準であり、財政状態の健全性は保たれているが、増加傾向であり注視の必要がある。
老朽化の状況について
現在の病院施設は建設後29年、管理棟は49年が経過しており、施設の老朽化、狭隘化が進んでいる状態である。今後、施設機能等を維持するため、建物設備等の更新及び修繕を計画的に行う必要がある。器械備品減価償却率は類似病院の平均を上回っており、経年比較においても上昇傾向となっており、更新整備が遅れている状況にある。このことから、限られた財源を有効に活用するため、更新が必要な機器を精査しながら更新整備を進めていく。
全体総括
新型コロナウイルス感染症及び消化器内科常勤医不在の影響により、入院・外来ともに患者数が大きく減少したため、医業収支比率が大きく減少した。そのため、補助金を受給したにもかかわらず経常収支は類似病医院を大きく下回った。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響が今後も続くなか、公立病院としての役割を担い、感染症対応に積極的に取り組むとともに、収益の確保とコスト縮減の徹底等により、収支改善に取り組んでいく。