地域において担っている役割
公立八女総合病院は八女筑後医療圏において、がん診療、救急医療、周産期医療、生活習慣病医療(予防・治療)を中心とした医療サービスを提供している。また、地域医療支援病院として地域医療機関との連携・協力関係を強化するとともに、地域全体の医療水準の向上を図っている。
経営の健全性・効率性について
平成30年度は、経常収支比率(94.9%)、医業収支比率(96.6%)とともに前年比で悪化した、令和元年度は、経常収支比率(94.9%)は前年と同じであるが、医業収支比率(94.6%)は前年比で悪化した。これについては、令和2年4月からの消化器内科医師4人の引上げに伴い令和元年度末(2-3月)に入院患者数が減少し病床利用率の低下と内視鏡検査等の減少により診療単価も低下したため、入院収入の減少(前年比98.7%)となった。外来診療においては病院と診療所の機能分化の推進とかかりつけ医機能の推進及び医師の働き方改革により逆紹介を積極的に行い土曜日診療も休診とした計画的な外来患者の減と6月より院外処方を開始したことによる収入の減少により前年比78.9%となった。外来患者1人1日当たり収益は、院内処方を院外処方に切り替えたことから、前年の25,319円から20,758円となった。このため、材料費対医業収益比率(24.3%)については、類似病院平均値とほぼ同じとなったが、収入の減少につながっているため、医業収益が低下したことで職員給与費率(54.7%)については上昇した。今後は、専門性の高い外来医療の提供による診療単価のアップを目指し収益増加を計っていく。累積欠損金比率は低水準であり、財政状態の健全性は保たれている。
老朽化の状況について
本院は建築後28年、管理棟は48年が経過しており、施設の老朽化、狭隘化が顕著となっている。有形固定資産減価償却率が示すとおり、老朽化も進んでいるため、令和元年8月より病院再整備検討委員会を設置し検討を進めてきた。将来的には2病院の病床数と機能を統合再編し、二次医療圏における中核病院化する施設の再整備がベストであるが、短期~中期的には病床機能を基にした機能分化又は、診療機能を基にした機能分化を図った上で建替えをすることが必要であると結論が出ており、八女市、筑後市、広川町の意向や地域住民の理解の上進めていく予定である。
全体総括
財政状態の健全性(安全性指標:自己資本比率54.8%、流動比率375.3%、当座比率355.9%、固定長期適合率84.0%)は保たれており、新公立病院改革プランに基づき、今後も地域において担っている役割を果たしつつ、収支改善に取り組んでいく。