経営の健全性・効率性について
平成30年度の経常収支と比較すると、収益は渇水対策による給水収益の減や加入金の減などから経常収益が減少した一方で、費用についても浄水場施設等に係る電力契約の見直しや企業債支払利息等の減などで経常費用が減少したことから、収支としては純利益が発生している。「経常収支比率」は、経常収益の減少が経常支出の減少より大きかったことから、平成30年度より率が減少したものの、依然として類似団体と同様に100%を超えて推移している。また、本市は自己水源が少なく、過去に多くの設備投資が必要だったことから、その財源である企業債借入額が大きいため、類似団体と比較すると「流動比率」が低く、「企業債残高対給水収益比率」が高い状況である。しかし、近年は企業債発行額の抑制や企業債の完済が進んでいることから「企業債残高対給水収益比率」は年々減少しており、平成30年度より約31ポイント減少するなど、安定した経営状況であると考える。「給水原価」については、年間有収水量が減少した一方で、修繕費等の維持管理費及び支払利息も減となり平成30年度より経常費用が減少していることから、約3円減少している。類似団体より高い数値となっているが、今後も企業債発行額の抑制を行うことで企業債残高の縮減を図っていくことから、更に減少していくものと考える。このことを踏まえ、「料金回収率」は、給水収益の減となったことにより供給単価が減となったが、給水原価も供給単価以上の減少幅となったことから、平成30年度に比べ更に100%に近づいている。
老朽化の状況について
中期経営計画に基づき、老朽化した管路や耐震化されていない管路について、計画的に更新を進めており、漏水事故等の防止、配水管等の整備による水供給の安定性及び配水の効率性の向上に努めている。このことから、「有収率」についても95%を超える高い水準を維持しており、管路更新率も類似団体と同水準となっている。また、「有形固定資産減価償却率」は、類似団体と比較すると高い水準にあるが、管路については法定耐用年数以上の更新基準年数(実耐用年数)に基づき計画的に更新していることから、減価償却率が高いと考える。今後も、減価償却が進んでいくため、上昇してく見込みである。「管路経年化率」は、類似団体や全国平均と比較して、低い水準で推移しているものの、更新基準年数に基づき更新していることから、今後も減価償却率と同様に上昇していく見込みである。
全体総括
今後の経営環境の課題としては、人口減少に伴う水需要の減少や、五ケ山ダムに係る受水費の増や施設の老朽化に伴う費用等の増大などが見込まれる。このことから、より一層の経営の効率化、安定化を図るため、精度をもった中長期的な経営計画や財政収支見通しを立て、水道施設の再編・更新計画を推進するとともに、効率的な施設の維持管理や民間委託の活用・拡大などを図り、経費の削減に努める必要があると考える。また、今後の人口減少に伴う給水収益の減少も見込まれることから、事業の必要性や実施時期等を的確に把握した財政収支見通しを立て、水道料金や加入金の在り方についても検証していく必要がある。