経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は前年度と比して悪化しており、料金収入及び一般会計繰入金等の総収益で総費用に起債償還を加えた費用を賄えておらず、初期及び更新投資への起債の償還が経営を大きく圧迫している状態にある。しかし使用料で回収すべき費用を使用料どれだけ賄えているかを示す経費回収率は前年度と比して若干向上しており、それに伴い汚水処理原価も前年度から向上している。これは平成30年7月豪雨により浸水被害を受けた事業所などからの使用料収入が若干持ち直し、また、災害に伴う下水道施設の修繕料などによる支出が減少したことが影響していると思われる。企業債残高は、令和元年度から比率が若干下がっているが、供用開始から約30年が経過し、機械電気設備が老朽化による更新の時期にあることから今後は若干の増加を予想する。このことについてはストックマネジメント計画により、無駄な投資を抑制するとともに補助金及び企業債を有効活用することで、資金不足を解消し経営への影響を最小にするよう努める。整備区域の人口及び使用料収入は減少傾向である。戸別訪問を実施するなど、未接続家屋の解消に努めており、施設利用率及び水洗化率の向上を図っている。※④企業債残高対事業規模比率(%)平成30年度決算状況調査において、『24地方債に関する調』の数値の一部が未入力であったため、当該値が大きく上昇している。正しい当該値806.16
老朽化の状況について
管渠の老朽化については、供用開始から約30年を経過し、硫化水素によるマンホールの劣化や、汚水管の亀裂等の老朽化が顕在化してきている。閉塞等による即時機能停止を未然に防止するため、ストックマネジメント計画による改築を行っている。また、管渠の点検調査についても計画的に実施していく。一方、処理場及びポンプ場については、長寿命化計画(第2期)を実施中である。汚水処理施設の計画的な改築更新のため、状況に応じた維持改修計画であるストックマネジメント計画及び耐水化計画を策定し、計画的な維持修繕及び資本投資を行い、効率的な施設運営を行う。
全体総括
初期投資に係る企業債は使用料収入及び合理的な範囲内における繰入金により償還している。収入については、面整備が完了し、区域内人口が減少傾向にあるため、使用料収入も減少傾向となっている。一方、管渠及び機械電気設備等の老朽化が進行し、修繕や改築更新に伴う支出は増加している。今後は、能率的な経営の下における適正な原価(営業費用及び支払利息等経営に要する費用)を使用料の基礎とするため、ストックマネジメント計画による効率的な投資や効率的な運転管理等により支出を抑制する健全な事業の運営を行い、資金収支上の不足については補助金、企業債、合理的な範囲内での繰入金等を有効的に活用することにより健全な経営を行う。また、未接続世帯の解消などにより使用料収入の向上に努める。