地域において担っている役割
郡内唯一の救急告示病院、急性期病院としての役割を担い、急性期・回復期の入院療養機能を担っている。また、周産期、小児医療など郡内の他の医療機関では担えない不採算な医療の提供を担っている。また、新型コロナウイルス感染症対策として患者受入病床の確保、発熱外来の開設など地域医療拠点病院としての役割を担っている。他に、がん情報提供促進病院、災害協力病院として患者の受入体制を整備しているほか、研修棟など研修環境を提供することや研修会を実施することで圏域内の医療技術の向上に貢献している。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%を達成しており、医業収支比率においても、類似病院平均値と比較して17.2ポイント上回っており健全と考える。病床利用率や、入院患者1人1日当り収益が類似病院平均値を上回っている点が要因と考える。また、他会計からの繰入金は項目ごとの算定基準をもって繰入を受けており基準外繰入はない。職員給与費対医業収益比率、材料費対医業収益比率については、原価管理を実施することで、定数の適性化や費用対効果を計っている。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率が類似病院、全国平均を比べても上回っている。施設においては、築36を経過した本館棟の建て替え事業に着手している。器械備品減価償却比率では電子カルテ更新や医療機器の償却終了に伴い、類似病院、全国平均と比べて下回っている。当院は中山間地に立地しているため、医師確保として医師住宅等の整備は必須であり重点をおいて整備をしている。そのため、類似病院と比べても1床当り有形固定資産が高値となっている。
全体総括
経営の指標となる、経常収支比率、医業収支比率ともに類似病院の平均値を上回っている。また、累積欠損金は近年発生しておらず、経営は安定している。医師の安定的な確保は医療提供体制、収益確保においても課題であり重点的に実施する必要がある。本館棟の建て替え事業は、令和4年度より本格化し、令和6年度グランドオープンを目指して地域医療構想を踏まえた医療提供体制の実施や、スプリンクラー設備の整備等を考慮した建て替えを計画している。また、財政計画では、本館棟建て替え後も継続可能な策定を検討している。