地域において担っている役割
地域包括ケア病床を整備し、急性期を過ぎた回復期患者の受入病院としての役割を担っている。外来診療では、各々の医師が専門性を活かしつつ、総合診療科制を実施している。訪問診療・訪問看護等の在宅医療を中心とした慢性期医療にも積極的に取り組んでおり、地域における他の医療機関・介護施設等との協力・連携を行いながら、高齢者が安心して生活できる医療を提供している。また、発熱等診療・検査医療機関として、地域の新型コロナウイルス感染症等の患者に対しての診療・検査を行っている。
経営の健全性・効率性について
当院は不採算地区病院であり、病床利用率は平均値より低い状況が続いているが、地域包括ケア病床をH28年度に6床から18床へ増床、H30年度には21床に増床したことで、入院診療単価が増加し、収支改善につながった。同時に未稼働の一般病床を8床削減し業務の効率化も進めており、H29・R1・R2年度には経常黒字となっている。全国平均値との比較では、外来診療単価および材料費の比率が高くなっているが、これは院内処方を行っていることが主な要因である。なお、R2年度は医業収支が悪化した一方で経常収支が改善しているが、これは他会計繰入金の増加によるものである。
老朽化の状況について
当院の医療圏(香美町村岡区、小代区)は高齢化の先進地域であり、高齢者人口も既に減少に転じているため、今後、医療需要が増加する見込みは薄く、施設設備に積極的な投資は行わない方針としている。ただし、建物は築30年が経過し老朽化が激しいため、最低限の改修を行いながら、医療の提供を続けて行く。なお、1床あたりの有形固定資産額は同規模平均よりも低いが、これは当院が回復期・慢性期医療の提供を中心としているため、医療機器等に対する投資額が少ないことに起因している。
全体総括
当院の医療圏は、総人口だけでなく高齢者人口も減少している地域であり、医療需要も減少傾向にあると考えられる。今後も地域の需要に応じた規模で、回復期・慢性期を中心とした医療を提供していく。なお、地域包括ケア病床の導入・増床によりH29年度には患者数増加したが、近年は近隣病院にも地域包括ケア病床の導入が進んでおり、今後大幅に患者数が増加することは考えにくい。不採算地区病院に該当しており、医業収支での黒字化は困難な状況にあるが、一般会計からの適切な繰入れによって経営健全化を図り、経常収支での黒字を目標としていく。