経営の健全性・効率性について
本町では、長年の懸案事項であった水量不足や水道未普及地区の解消を目的に町内に点在していた13箇所の簡易水道事業のうち、近接する10箇所の簡易水道事業を統合し、平成19年4月より大阪広域水道企業団水を新たな水源とする上水道事業として給水、現在に至る。経営の健全性をみると、平成13年度からの統合簡易水道施設整備事業に伴う減価償却費や企業債利子の増加、また、地勢上の制約から、数多くの水道施設が点在し、非効率な送配水を余儀なくされ動力費等の維持管理費用がかさみ、給水原価が非常に高額なものとなっている。なかでも企業債残高対給水収益比率の高さが示すように大規模投資を行ったことに関連する資本費については、経常費用中の約6割を占め、経営の改善策として公的補償金免除繰上償還の制度を利用し、企業債の利子負担軽減に努めたが、その効果は限定的なものにとどまった。経常収支比率、料金回収率では、経常収支比率に関し、年度ごとのバラつきが見られ、100%以上となった年度においても類似団体との比較ではその平均値を下回る。また、本町の経常収益は、一般会計からの繰入基準内補助が経常収益の約3割を占め、給水収益以外の収益に依存する構造となっており、経常収支比率が100%以上の年度においても、料金回収率は100%を下回る状況となっている。一方、効率性においては、有収率は類似団体平均値とほぼ同じ数値となっているものの、施設利用率が低い水準となっている。要因としては、給水人口の減少に伴う需要の減に加え、本町の特徴として私設井戸と水道水の併用世帯が数多く存在し、2か月の使用量0㎥世帯が水道使用全世帯の約1割、基本水量内(0㎥から16㎥)世帯では約4割を占めることにあると考える。
老朽化の状況について
統合簡易水道施設整備事業など新規大規模投資による施設更新も進み、有形固定資産減価償却率、管路経年化率は、類似団体平均値と比べ非常に良好なものとなっている。しかしながら、管路更新率については、類似団体平均の二分の一程度と極めて低い。統合簡易水道施設整備事業で新規取得・老朽化の更新を行った施設は、給水区域全体に及ぶものではなく、有収率の低さを見てもわかるように旧簡易水道時代の老朽管路も未だ数多く存在している。
全体総括
本町における経営の健全性・効率性について、統合簡易水道施設整備事業に伴う大規模投資での資本費や地勢上の制約に伴う給水効率の悪さが、高額な給水原価の主要因となっている。特に経常費用の中でも減価償却費及び支払利子の占める割合が非常に大きいことから、水道施設の更新に関しては、給水人口や給水需要の減に直面している状況を踏まえ、ダウンサイジングや水運用上可能な範囲において、施設配置の集約化検討を行い、更新再投資額を抑制し、新たに発生する資本費の縮減に努める。また、料金回収率が低いことからもわかるように、井戸水から水道水へのシフトを促す等の料金収益の増収策が課題である。老朽化の状況に関しては、管路更新率について類似団体平均との比較においても極めて低い水準となっており、まずは、更新率1%を目標に段階的な率の向上に努める。平成28年度においては、将来にわたりサービスの提供を安定的に継続することが可能となるよう、中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」を策定する予定にしている。