経営の健全性・効率性について
収益的収支比率については、平成28年度以降、大きく悪化しているが、これは資本費平準化債で借り換えが発生しているためである。その影響を除いても、悪化傾向にあるのは、平成30年度から令和2年度にかけて、地方債償還金のピークとなっているためで、徐々には改善すると見込んでいる。企業債残高対事業規模比率については、令和元年度は打ち切り決算による使用料収入の減少により、営業収益が減少し、全国平均値および類似団体平均値を上回っている。経費回収率については、令和元年度は打ち切り決算のため、使用料収入の減少により、類似団体平均値を大幅に下回っている。汚水処理原価については、限られた事業費の中での整備を行っており、普及率が低く、有収水量が少ないため、類似団体平均値、全国平均値を上回っている。水洗化率については、接続工事への融資あっせん及び利子補助制度、各戸訪問や水洗化促進リーフレットの配布等により、改善に努めており、行政区域内人口が減少する一方、水洗便所設置済人口が増加したため、水洗化率が増加となった。なお、施設利用率については、単独処理場を設置していないため当該値を計上していない。
老朽化の状況について
本市の下水道事業は平成5年度の供用開始から、整備時期が比較的新しく、老朽化などで改築を要する管渠は存在しないが、昭和40年代に開発され、帰属を受けた管渠については、法定耐用年数の50年を超過した管渠が増加傾向にある。また、ポンプ場の施設や設備の老朽化も進んでいる。
全体総括
これまでの使用料改定、経費削減や事業費抑制等の取組みにより、一部の指標で改善がみられるが、人口減少などの取り巻く経営環境は、引き続き厳しいものである。今後とも経営改善に努めるとともに、新たに広域化・共同化による経営改善に取り組む必要がある。施設の改築更新については、ストックマネジメント計画を策定し、事業費の平準化や縮減に努める。令和元年度決算の収益的収支比率、汚水処理原価は平成29年3月に策定した経営戦略の目標値を上回っている。令和2年度より地方公営企業法を適用し、公営企業会計を導入することとなるため、新たな財務諸表を通して経営状況を明確に把握することに努めるとともに、令和2年度中に策定される経営戦略を活用し、今後も長期的に目標値を達成・維持できるよう、事業運営方針に基づく経営の健全化に取り組んでいく。