経営の健全性・効率性について
平成25年度以降、経常収支比率については100%を超えて黒字にはなっているものの料金回収率は100%を下回っている。類似団体の平均値よりさらに低い数値となっており、経営に必要な経費を給水収益で賄うことができていないというのが現状である。その主な原因としては、少子高齢化による人口減少や節水型の給水機器の普及もあり水道使用量、給水収益が減少していることが挙げられる。また、企業債残高対給水収益比率は類似団体と比較すると、かなり高い数値となっている。これは21年度以降、老朽管等の施設の更新が必要なこともあり起債借入額が大幅に増加していることが原因である。その結果、平成26年度末の起債残高は約25億円となっており今後、これらの返済により水道事業の資金繰りは非常に厳しいものになると予想される。現在、累損欠損金は生じてはいないが、現在の給水収益では数年後には累積欠損金が生じるおそれがある。このような経営現状を改善するために、平成26年10月より水道料金の改定を行なったが、今後の給水収益を注視していく必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、全国平均やる類似団体平均値を下回っており、数字上は類似団体と比べて施設の老朽化は進んではいない状態にみえる。しかし、平成26年度末において多賀町の水道管の総延長は約112㎞あり、半分近い約51kmが設置から20年以上を経過している状態である。この経年管のほとんどは耐震性能のないビニル管となっており、地震に対応できる管路の割合である耐震適合率は19.7%しかない。これは、滋賀県平均の34%にはまだまだ及ばない状況であり、管路の老朽化は、漏水や破損による断水といった危険性があるため計画的な更新が必要不可欠である。
全体総括
平成21年以降の老朽管等の施設の更新により、起債発行額が大幅に上昇しており、今後据え置き期間の終了とともに元金償還額が大幅に増加し平成32年度にはピークに達する。今後は、老朽施設の更新等の規模を縮小し、計画的に更新を進めていくことが必要である。また、水道料金の改定を行い、給水収益の増収を見込んでいるが、人口の減少や節水によりまだまだ安心できない状況である。今後は、水道料金未納者の更なる回収に努め、事務の効率化や経費の削減等一層の経営努力をしていくことが必要である。