地域において担っている役割
当院は、滋賀県の東近江医療圏(人口約22万人)に属しており、高度急性期及び急性期医療を中心とした医療を提供しています。救命救急センター、地域周産期母子医療センター、災害拠点病院、地域医療支援病院などの指定を受け、当医療圏の基幹病院としての役割を果たしています。
経営の健全性・効率性について
クリニカルパスの見直しや入退院支援室による病棟看護師業務削減・効率性向上により平均在院日数を短縮し、地域連携による集患を進めたことで、④病床利用率は類似病院平均値を大きく上回っています。費用面では、ローコストオペレーションプロジェクトにより、機器・医療情報システムの保守委託料、役務委託料等について見直し削減し、①経常収支比率②医業収支比率ともに100%を超え良好な数値を示しています。また、抗菌薬適正使用支援加算など新たな施設基準を取得し増収につなげていますが、単価(1人1日あたり収益)の上昇には高額薬剤投与治療による影響も含まれるため、⑧材料費対医業収益比率の動向に留意する必要があります。
老朽化の状況について
病院の建物は平成18年10月に新築したもので比較的新しいため、①有形固定資産減価償却率は平均値を大きく下回っていますが、今後は耐用年数を経過する電気・機械設備の更新整備に取り組み、施設の長寿命化を図っていく必要があります。一方、②器械備品減価償却率は平均値を上回っています。新築開院後10年以上が経過し、主要な医療機器の更新時期を迎えていることから、計画的な機器更新に取り組んでいきます。また、③1床あたり有形固定資産は、当院が高度急性期医療の分野も担っており高額な医療機器整備への投資が必要なことから平均値を上回っていますが、一般医療機器と同様、計画的な更新が必要です。
全体総括
地域医療構想に沿った病院機能の変革に向けて「脳卒中センター」を新たに創設し、早期に脳卒中に介入することで治療成績の向上を図っています。また、GCU病棟の運用開始により、新生児受入の円滑化につなげ、東近江医療圏域のみならず県全域における小児救急医療の中核病院として役割を担っていきます。今後は、会計年度任用職員制度の運用開始による給与費の増加、国をあげて働き方改革が推進される中で求められる人員体制の見直し・再構築など、病院経営を取り巻く環境は厳しくなりますが、人材の安定確保に努めながら、地域連携による集患への取り組み、手術件数の増加、診療報酬の確実な請求体制構築など収益増加への取り組みを進め、健全経営の維持に努めていきます。