経営の健全性・効率性について
■経営の健全性・①経常収支比率は、100%以上で推移しており、過去からの赤字額の累積である②累積欠損金も発生していません。・③流動比率は、平成27年度末で295.38%となっており、負債に対して約3.0倍の資産を保有しています。・平成20年度以降企業債の借入れを行っていないため、④企業債残高対給水収益比率は徐々に減少しており、平成27年度末で55.72%、類似団体平均値274.14%と比べて約1/5の値となっています。・⑤料金回収率は、100%以上で推移しており、水道料金収入で費用を賄えているといえます。■経営の効率性・⑥給水原価は平成25年度まで類似団体平均値を上回っていましたが、平成26年度以降下回っています。費用内訳をみると、県営水道からの水の購入費、施設の減価償却費で約8割を占めています。・⑦施設利用率は、70%台で推移しており、類似団体平均値を上回っています。・⑧有収率は、94%前後で推移しており、類似団体平均値を上回っています。★総括★毎年度黒字が発生しており、資金的にも余裕があり、支払能力も高いといえます。企業債残高は、料金収入割合と比べ小さく、経営を圧迫するような状況にありません。また、給水にかかる費用も料金収入で賄えており、施設利用や配水も効率的に行われています。以上のことから、健全性・効率性とも良好であるといえます。
老朽化の状況について
■施設全体の減価償却の状況・①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値を下回っていますが、年々高くなる傾向にあります。■管路の経年化の状況・②管路経年化率は、類似団体平均値を下回っています。今後、創設期に布設した管が耐用年数を迎えることから、経年化率は高くなる見込みです。■管路の更新投資の実施状況・③管路更新率は、類似団体平均値を上回っています。現在、老朽管更新や基幹管路の耐震化等に伴う布設替工事を行っており、総管路延長も伸びていることから、今後、更新率は横ばい傾向で推移する見込みです。★総括★減価償却率、管路経年化率からみた施設全体の老朽度は、それほど高くはありませんが、管路更新率が高くないことから、今後、施設の老朽度は上昇する見込みです。法定耐用年数40年は一応の目安であり、管の埋設状況等により実質的な耐用年数は変動します。
全体総括
現状の分析において、財政面の健全性は確保されているといえますが、施設については、今後老朽化が進み、安定的な水の供給に支障をきたすおそれがあります。施設更新費用の増大に伴う財源の確保は、水道料金収入や企業債の借入れに求めざるを得ませんが、安易な料金値上げ、借入れはできません。現在、「第1次水道施設整備計画」(平成23年度~平成32年度)に基づき、現行料金水準を維持しながら財政の健全性確保に重点を置いて、重要度、緊急度の高い施設を優先的に整備を進めています。平成33年度以降の次期整備計画策定にあたっては、財政の健全度と施設の健全度の均衡を図るため、施設全体の更新需要の把握、水需要の予測などを行い、施設の更新サイクルや耐震化等の検討と併せて、水道料金水準の見直しや企業債借入れの検討を進めていきます。