経営の健全性・効率性について
①経常収支比率及び⑤料金回収比率につきましては、給水人口の増加に伴う給水収益の堅調な伸びにより、いずれも100%以上を維持しており、全国・類似団体平均値よりも高い水準で推移しています。経常収支比率の100%を超えた分につきましては、今後の更新投資に充てるために必要な財源として確保したものであります。また、②累積欠損金もなく、健全な経営が保たれています。③流動比率及び④企業債残高対給水収益比率につきましては、新規起債もなく、他団体と比べて企業債残高が年々減少している状況を反映し、全国・類似団体平均値よりも良好な状況にあります。⑥給水原価につきましては、資産減耗費及び企業債償還に係る利息の減少などにより費用の増加が抑えられたために昨年度を若干下回りました。全国・類似団体平均値よりも低く、料金収入を得るための費用が安価となっている状況にあり、今後も効率的な経営に努めます。⑦施設利用率につきましては、平成28年12月に1日最大給水量を18,800㎥から16,800㎥に変更したことにより、平成28年度決算では約10ポイント上昇しています。平成29年度においては、給水人口の伸びにより年間総配水量が増加したため、昨年度より2.5ポイント上昇しており、全国・類似団体平均値を大きく上回りました。今後も既存施設の能力を効率的に利用して、健全な経営状態を維持しています。⑧有収率につきましては、自然漏水の増加により昨年度に比べて1.55ポイントの低下となりましたが、全国・類似団体平均値よりも高い水準を維持しています。有収率の維持向上のため、平成30年度において漏水調査を実施し、漏水の早期発見・修繕に努めました。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率につきましては、過去3年間同程度の水準で推移しており、平成27年度稼働のポンプ場関連の整備とライフライン機能強化事業を進めてきたことによって、全国・類似団体平均値を下回っています。②管路経年化率につきましては、全国・類似団体平均値よりも高い状況にあります。これは、水道事業創設時に集中して整備した管路が法定耐用年数を経過したことによるよるものです。また、③管路更新率につきましては、近年、ライフライン機能強化等事業を進めているところですが、区画整理区域内における配水管布設工事が概ね完了した影響により、平成29年度では類似団体平均値は上回っているものの、全国平均値を下回る結果となっています。今後、水道施設更新計画に沿って、中長期的な視点に立った計画的かつ効率的な更新に努めてまいります。
全体総括
経営状況は、給水人口の増加に伴う給水収益の堅調な伸びと企業債残高の減少を反映し、経営の健全性・効率性に係る指標からみて、健全な財政運営を維持しています。また、老朽化の状況に係る指標からは、水道事業創設時の管路が耐用年数を迎えたことにより、管路の老朽化の進行に対し、更新が進んでいない状況が見受けられます。ライフライン機能強化等事業を継続的に進めたことなどにより、管路更新率は平成26年度以前に比べて高い値を維持しているものの、全国平均を下回る結果となったことを踏まえ、老朽化した管路の計画的な更新を重点施策として捉え、水道施設更新計画の策定を進めました。今後、良好な経営状況を基盤として、「安全」「強じん」「持続」の観点から、平成32年度に予定している経営戦略の策定を進めるとともに、水道施設更新計画に基づいた管路等の適正な更新を推進し、引き続き経費削減や有収率の向上に取り組むなど、健全な事業経営の維持に努めてまいります。