経営の健全性・効率性について
●経営の健全性について当市においては、毎年度経費削減に努めており、このことが、①経常収支比率、⑤料金回収率、⑥給水原価が類似団体平均及び令和元年度全国平均と比べ良好な水準として表れている。しかし、近年は給水量の減少による収益の減少や多額の投資による減価償却費の増加により、毎年指標が悪化している。また、④企業債残高対給水収益比率は、平成23年度、24年度に繰上償還を実施したこともあり、類似団体平均及び令和元年度全国平均と比べ低く、市民の将来負担を抑制している。しかし、今後は老朽施設等の更新に多額の投資が必要となり、その財源として企業債を活用するため、数値の悪化が見込まれる。●効率性について⑧有収率は過去5年間90%以上を保っており、類似団体平均及び令和元年度全国平均と比べて高い水準にある。平成30年度に続き令和元年度も、平成25年度以前の水準を維持した。一方で、⑦施設利用率は配水量の減少により悪化傾向にある。平成25年度に配水池の容量を縮小する等、ダウンサイジングを進めているが、指標には反映されておらず、類似団体平均及び令和元年度全国平均と比べて低い水準にある。
老朽化の状況について
当市において、①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均及び令和元年度全国平均と比べて低い水準にある。近年は減価償却費を上回る投資を続けており、次年度以降の数値も改善されていくことが見込まれる。一方で、②管路経年化率は、地方公営企業法施行規則に定める耐用年数(40年)を超える水道管路の割合が、類似団体平均及び令和元年度全国平均と比べ高い水準にある。これは事業開始年度(昭和32年度)に布設した水道管が多く、また令和元年度に取得した水道管延長が経年化を迎える水道管延長を下回っているため、数値が悪化したものである。管路の更新は、類似団体平均及び令和元年度全国平均と比べ積極的に実施しているが(③管路更新率)、まだ老朽化している管路が多く存在するというのが現状である。
全体総括
当市においては、現在進めている耐震化事業と並行して「老朽管路をどのように更新していくか」というのが喫緊の課題である。しかしながら、管路の更新には多額の投資が必要となるが、人口減少や節水機器の普及により、引き続き給水収益の減少が見込まれ、財源確保が難しい状況である。このような状況の中、より一層の経費削減や適切な企業債の活用など、更新投資にかかる財源確保に努めなければならない。以上のことを踏まえ、平成29年度に経営戦略を備えた第2期水道ビジョンを策定及び公表している。今後は水道ビジョンで示した投資計画・財政計画をもとに事業の運営を進めていく。なお、定期的に投資計画・財政計画の見直しを行い、令和9年度に策定予定の第3期水道ビジョンと併せて経営戦略を見直す予定である。