経営の健全性・効率性について
「①経常収支比率」は、100%を超え黒字であり、「⑤料金回収率」とともに昨年より上昇しています。これは、給水収益は減少しているものの、昨年度増加した老朽化施設の更新による資産減耗費用が減少したことによるものです。今年度においては、全国平均及び類似団体平均を上回っています。「③流動比率」が減少傾向にあるのは、平成26年度の会計制度見直しによる影響もありますが、老朽化施設の更新を進めていることにより内部留保資金が減少しているものです。現状では、全国平均及び類似団体平均を上回り、更新投資等に充てる財源は確保されており、平成26年4月に水道料金の値下げを行うなど、事業全体として安定した事業運営ができていると判断できます。「④企業債残高対給水収益比率」は、新たな借入れを行っていないため減少しており、全国平均及び類似団体平均より下回っています。有収水量1㎥あたり、どれだけの費用がかかっているかを表す「⑥給水原価」は、全国平均及び類似団体平均を下回っています。「⑦施設利用率」は、全国平均及び類似団体平均を上回っておりますが、経年比較すると前年度より0.73%、過去5年間で0.96%減少しています。これは、配水量の減少によるものですが、水道事業の性質上、季節によって需要に変動があり、平成27年度の最大稼働率は73.88%、負荷率は91.09%となっています。また、「⑧有収率」についても、全国平均及び類似団体平均を上回っており、効率性が良いといえます。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」は、昨年度から全国平均を上回っていますが、類似団体平均は下回っています。老朽化施設の更新を進めてきた結果によるものですが、数値は年々上昇傾向にあります。「②管路経年化率」は、全国平均及び類似団体平均を下回っていますが、上昇傾向にあります。「③管路更新率」は、主に老朽化施設の更新を進めてきたことにより、全国平均及び類似団体平均を下回っています。現状では、早急に対策が必要な程度ではないと判断しますが、今後、高度経済成長期に整備した水道施設が、順次、法定耐用年数を迎えることから、更新投資を計画的に進める必要があります。
全体総括
経営の健全性・効率性については、健全かつ効率的に経営していると考えられますが、将来人口が減少していくことが予測されており、節水機器の普及や節水意識の向上により水道料金収入は減少傾向にあるという認識に立ち、収益の確保や費用の削減による経営改善を検討します。老朽化については、適正な施設規模、耐震化、有収率の向上を図るための管路や施設の更新について検討し、財政計画と投資計画をあわせた「経営戦略」の策定を進めてまいります。