地域において担っている役割
当院は、静岡県東部地域の中核病院として急性期医療を担っており、併せて、三次救命救急センターや地域周産期母子医療センターの機能も併設している。また、地域医療支援病院として、地域の医療機関との連携強化の役割や、地域包括ケア病棟の導入により、急性期を脱した患者の在宅復帰に向けた退院支援を実施しているほか、地域における医師確保の観点から、研修医の受入れに係る基幹型臨床研修病院や専攻医の受入れに係る基幹施設としての役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、令和元年度において100%を上回ることができたが、令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、主には入院収益の減少、感染症対策に係る材料費や職員給与費の増加等により、前年度から6.6ポイント減の94.1%となった。なお、地域の急性期医療を担う当院の役割を一定以上果たした結果、入院患者1人1日当たり収益が66,586円となり、平均値(57,368円)を上回ったものと認識している。今後、主として入院患者数の増加を図るために必要な診療科の医師を確保し、病床利用率を引き上げていくほか、各種加算を確実に算定することなどにより、収益を増やしていく取組が必要となる。
老朽化の状況について
当院は、現施設建築後30年以上経過しており、一部に老朽化も見られることから、定期的な施設・設備改修が必要である。また、医療機器についても使用頻度や収益性を考慮した上で適宜更新を図ることにより、地域の中核病院として安定した質の高い医療を提供していく必要がある。なお、指標においては、有形固定資産減価償却率のほか器械備品減価償却率について、類似病院の平均を上回っており、施設や器械ともに老朽化の傾向が見られることから、必要性・有用性を考慮し計画的な更新を実施していく。
全体総括
令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、患者の受診控えや院内の感染症対策として実施した受診制限、緊急手術以外の予定手術の見合わせなどを行った時期があり、この影響により、医業収益に大きな減少を生じた。当院は、地域の中核を担う急性期病院として、「救急医療」や「専門医療」を担う公立病院であることから、コロナ禍においてもこれら機能を損なうことがないよう均衡を図った結果、収支としては大変厳しいものとなった。引き続き、当院としての役割を堅持しつつ、医師の確保により、患者数を増やすことなどで収益が増加するよう、また、医薬品の価格交渉や委託内容の見直しをさらに進めていくことなどで費用を削減するよう努めていく。