地域において担っている役割
・へき地医療、不採算医療の提供・かかりつけ医機能、病院群輪番制参加医療機関として緊急・救急医療体制の提供・訪問診療、訪問看護体制の充実と地域包括ケア病棟を活用(在宅への復帰支援と在宅からの受入)することで、地域包括ケアシステムを支える病院
経営の健全性・効率性について
入院患者1人当たり収益は前年より上昇したものの、入院・外来ともに患者数が減少。これに伴い経常収支・医業収支・病床利用率等が軒並み減少した。平成30年度末に常勤医師3名が退職したことによる影響と考えられる。材料費対医業収益比率の減は手術件数の減によるものと考えられる。経常収支比率が105.6となったH28と比較し、経営悪化の原因としては、医師不足による全体の医業収益の減少によるところが大きいため、引き続き医師確保に努め診療体制の安定化を図り医業収益を増加させたい。また、地域の実情や将来に合致すると考えられる地域包括ケア病床を増床し、病床稼働率を向上させ収益増加につなげたい。
老朽化の状況について
管理診療棟(S57建築)をはじめとした建物の老朽化により、設備等の維持管理については、今後多額の費用が掛かることが予測される。同様に医療機器についても高額機器(電子カルテ、MRI、CT等)の更新が予定されている。患者にとって安全快適な療養環境を維持できるよう、効率的な診療提供のための設備投資を考えることは重要であるが、病床当たりの有形固定資産が他病院と比べ高額であることから、今後の人口動態や診療体制を考慮した中長期的視野での計画的整備を実施し、過大投資を抑制し減価償却費の平準化を目指したい。
全体総括
地域において必要な医療を安定して継続的に提供するために必要な医師確保が進まない状況が継続しており、医業収益増加のため必要な医師の確保は最重要課題であると認識しており、引き続き様々な確保策を講じていく。令和元年度において、医師の入れ替わりはあるものの、平成30年度に退職した医師3名の補充には至らなかった。また、老朽化が進む設備や機器の長寿命化を図りながら、計画的な整備を図り、今後必要となる高額機器更新や設備の維持を行っていく。さらに、材料費や保守費用等の経費削減に取組み、中長期的な病院機能・規模を見据えた計画的な人材確保を行い、経営安定化を図る。来年度より一般病床49床を地域包括ケア病床へ機能を転換し地域包括ケア病棟を88床とし、地域連携強化により病床稼働率を向上させる事で医業収益の増加を図る。また、新型コロナウイルス感染症についても、公立病院として地域を守るという観点で、できる限り対応していく。