経営の健全性・効率性について
水道事業では、平成30年度は①経常収支比率が141.11%と前年度並みの水準を維持し、全国及び類似団体の平均を上回るとともに、県内同規模団体との比較でも高い水準となりました。また、②累積欠損金比率が0%を維持していることからも、単年度の経常収支は安定して黒字を維持できていると思われます。これは、⑥給水原価が平均に比べて低く抑えられている一方、⑤料金回収率は139.41%と全国及び類似団体の平均並びに県内同規模団体との比較で高い水準を保っており、経費(コスト)を抑制しつつ料金収入で経費を賄うことができていると見られることからも裏付けられると考えられます。しかし、⑦施設利用率は平成28年度以降徐々に改善しているものの全国平均より低いこと(45%前後)、⑧有収率も横ばいで全国平均を下回っていること(88%前後)から、漏水や給水人口の減少が配水量の減少に影響していることが考えられ、長期的には給水収益(料金収入)の減少につながることが懸念されます。また、④企業債残高対給水収益比率は全国及び類似団体の平均より低い水準にあるものの、平成27年度に配水池や管路などの設備更新に伴う新規借り入れを行ったため従来より2倍以上に上昇しており、今後も設備更新に伴う借り入れを継続的に行う必要があることから、企業債償還金の増加が経営状態に影響することも考えられます。
老朽化の状況について
②管路経年化率は全国及び類似団体の平均を下回り、耐用年数を超えた管路は比較的少ないものの、①有形固定資産減価償却率が65.63%に達し、全国及び類似団体の平均及び県内同規模団体との比較でも高い水準にあり、耐用年数に近い施設が多いものと考えられます。加えて③管路更新率が低い水準にあることから、布設替えなどによる管路の更新を含めた施設全体の計画的な更新、安定した給水量を確保するための水源開発等が今後の課題となっています。なお建設改良(施設更新)については、平成30年度には給配水管の更新(3カ所)、水源ポンプの更新(1カ所)及び水源調査(1カ所)等を実施し、令和元年度には中央監視制御装置の更新、水源の試掘(1カ所)等を予定しています。
全体総括
以上のことから、水道事業の経営状態は比較的良好な状態を維持しているものと思われます。一方、近い将来に見込まれる管路などの施設更新や老朽化が進行する施設の維持管理に伴う費用の増加、給水人口減少に伴う給水収益(料金収入)の減少などに備えて安定した経営状態を維持するため、なお一層の経費削減を進めるとともに、設備更新に合わせた過剰設備の見直しなどの事業効率の向上や安定供給に向けた水源確保にも取り組む必要があると考えられます。