経営の健全性・効率性について
水道事業では、①経常収支比率が平成28年度は前年度より若干下がったものの124.42%~164.35%と全国及び類似団体の平均を上回り、②累積欠損金比率も0%を維持していることから、単年度の経常収支は安定して黒字を維持できていると思われます。これは、⑥給水原価が平均に比べて低く抑えられている一方、⑤料金回収率は112.74%~135.95%と平均より高い水準を保っており、経費(コスト)を抑制しつつ料金収入で経費を賄うことができていると見られることからも裏付けられると考えられます。しかし、⑧有収率が漏水対策などにより改善してきている(79.09%から88.82%に)ものの、⑦施設利用率は低下傾向にある(52.83%から44.76%に)ことから、給水人口の減少が配水量の減少に影響していることが考えられ、長期的には給水収益(料金収入)の減少につながることが懸念されます。また、④企業債残高対給水収益比率は平均より低い水準にあるものの、平成27年度に配水池や管路などの設備更新に伴う新規借り入れを行ったため従来より2倍以上に上昇しており、今後も設備更新に伴う借り入れを継続的に行う必要があることから、企業債償還金の増加が経営状態に影響することも考えられます。
老朽化の状況について
②管路経年化率は全国及び類似団体の平均を下回っており、耐用年数を超えた管路は比較的少ないものの、①有形固定資産減価償却率が平均を上回って平成28年度には63.32%に達していることから、耐用年数に近い施設が多いものと考えられます。また、③管路更新率は低い水準にあり、布設替えなどによる管路の更新を含めた施設全体の計画的な更新が今後の課題となっています。
全体総括
以上のことから、水道事業の経営状態は比較的良好な状態を維持しているものと思われますが、近い将来に見込まれる管路などの施設更新や老朽化が進行する施設の維持管理に伴う費用の増加、また、給水人口減少に伴う給水収益(料金収入)の減少などに備えるため、なお一層の経費削減を進めるとともに、設備更新に合わせて過剰な設備の見直しを行うなどの事業効率の向上にも取り組む必要があると考えられます。