地域において担っている役割
病院群輪番制病院として医療圏内の救急医療の一翼を担うとともに、医療圏の急性期医療や、地域がん診療連携拠点病院としての高度医療、公立病院として民間病院では限界のある精神・結核・感染症・認知症疾患等の政策的医療を堅持しているところである。
経営の健全性・効率性について
平成30年度経常収支比率では、前年度比で0.6ポイント上昇した。これは、延べ患者数の増加や総合入院体制加算を取得したこと等により経常収益が増加した一方、材料費を中心とした経常費用の削減を進めたことで、収支改善したためである。医業収支については全国平均を上回っているものの、100を超えるよう今後も一層の取り組みが必要である。累積欠損金比率は、平成29年度からの収支黒字の継続により累積欠損金は減少している。今後も収支改善を図り黒字経営を継続するため、地域医療ビジョンとの整合性をとりながら、さらなる医療の質の向上と経営の安定に取り組む。病床利用率については全国平均並みであり、今後も新規入院患者の獲得に向け努めていく。入院患者1人1日当たり収益は、新規入院患者が減少したことや単価の高い循環器内科の手術件数が減少したこと、単価の低い精神疾患の患者数が増加したこと等により、減少した。外来患者1人1日当たりの収益は、紹介・逆紹介の推進や放射線治療の再開等により、増加となった。今後もさらに地域医療機関との連携を強化し、紹介患者の増加につなげ、収益増加を図っていく。職員給与費対医業収益比率では、医師の職員増が影響し、前年度比で増加した。今後も適正な人員配置を検討していく。材料費対医業収益比率については、共同購入や価格交渉による診療材料費の節減や循環器内科の手術件数の減少により、比率が低下した。今後も材料費の削減に取り組んでいく。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率、器械備品減価償却率ともに、放射線治療装置の更新等により昨年より低下したものの、依然として全国平均、類似団体との比較で上回っており、平成12年度に建設した病院全体分のほか、建設と同時に導入した医療機器等の老朽化も顕著に表れてきている。今後はこれらに対する修繕も増大することが予想され、収支面では費用の増加が懸念される。1床当たり有形固定資産については、前年度から病床数に増減はないものの、放射線治療装置の更新があり微増したものと考えられる。今後も当院の財政規模を考慮し、施設等の投資計画の見直しを適切なタイミングで行っていく。
全体総括
収益面では、入院収益・外来収益ともに増加し、外来患者1人1日当たりの収益は増加した一方で、入院患者1人1日当たりの収益は減少し、医業収支比率は97.0となっている。紹介・逆紹介を通じた新規入院患者の獲得等により入院患者1人1日当たりの収益を増加させ、政策的医療などの不採算部門以外での医業収益を増やし、医業収支の改善を目指していく必要がある。費用面では、職員給与費、材料費それぞれの医業収益比率が類似団体と比べポイントは低いが、さらなる費用削減について検討していく必要がある。一方で、有形固定資産等の減価償却率は全国平均、類似団体比較でもはるかに高いポイントとなっており、今後は老朽化による修繕費の増加が懸念される。計画的な修繕の実行により費用を抑制しつつも、機器等の継続的・計画的な更新も実施し、当院の医療の質の維持・向上を図っていく必要がある。