地域において担っている役割
当院は、構成市の圏域における中核病院として、高度・急性期医療センターとしての役割を担っています。5疾病(がん診療、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)5事業(救急、小児、周産期、災害、へき地)などの政策医療においては、特に、がん専門医療の提供、脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病、救急医療について地域の中核的な役割を果たしており、今後も各機能の維持及び強化に努めるとともに、精神疾患、認知症などの高齢者医療、在宅医療、介護にも関わり、社会ニーズに沿った体制を整備し、地域の医療機関のほか関係機関との連携を推進していきます。
経営の健全性・効率性について
②医業収支比率については、前年度(92.9%)に比べ著しく低下(7.6ポイント)しました。令和2年度は、新型コロナウイルス感染症による受診控え等の影響により入院及び外来収益の減少に伴い医業収益が減少し、患者数の減少に伴う材料費等の減少があったものの、危険手当の増額による職員給与費の増加等により費用が増加しました。一方で、①経常収支比率について、新型コロナウイルス感染症対応を目的とした国及び都道府県からの補助金、赤字補填を目的とした構成市助成金の交付により医業外収益の大幅な増額となりました。そのため前年度(98.1%)に比べ大きく増加(6.7ポイント)しています。③累積欠損金比率については、令和2年度決算では純利益を計上したため減少に至り、前年度(16.2%)に比べ5.0ポイント低下しています。④病床利用率については、前年度と比較し延べ入院患者数及び外来患者数ともに減少したため、前年度(72.4%)に比べ3.1ポイント低下しています。⑤入院患者1人1日当たり収益及び⑥外来患者1人1日当たり収益については、継続して高い水準で推移しており、患者さん1人当たりに対し、高度で専門的な医療を提供していると評価することができます。⑦職員給与費対医業収益比率については、医業収益の減少及び給与費の増加が影響し、前年度(54.7%)に比べ12.0ポイント上昇しています。⑧材料費対医業収益比率については、高額な抗がん剤等注射薬の新規採用及び投薬量の増加が影響し、前年度(24.5%)に比べ1.1ポイント上昇しています。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、59.9%となり、類似病院平均と比較し若干高い数値になっており、施設及び保有する医療機械の老朽化が進んできていると言えます。②機械備品減価償却率については、76.5%となり、前年度(77.4%)に比べ0.9ポイント低下しました。③1床当たり有形固定資産は、年々増加傾向にあります。これは、近年耐用年数が経過した高額な放射線機器等を順次更新していることが影響しています。
全体総括
令和元年度と比較し医業収益の減少、給与費及び材料費が増えた影響等により費用が増加したものの、新型コロナウイルス感染症対応に係る補助金等の交付により純利益を計上する結果となりました。今後は患者数の増加による医業収益の増を目標とし、これまで以上にコスト意識を持ち、全職員一丸となって経営改善に取り組んでまいります。また、老朽化が進む医療機械については、大型医療機器の更新も含め、計画的な更新及び導入を図ることとします。今後も構成市における中核病院として、住民の命と健康を守り、安定した質の高い医療を継続的に提供するため、より一層の経営改善を推進するよう努めていきます。