地域において担っている役割
当院は、構成市の圏域における中核病院として、高度・急性期医療センターとしての役割を担っています。5疾病(がん診療、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)5事業(救急、小児、周産期、災害、へき地)などの政策医療においては、特に、がん専門医療の提供、脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病、救急医療について地域の中核的な役割を果たしており、今後も各機能の維持及び強化に努めるとともに、精神疾患、認知症などの高齢者医療、在宅医療、介護にも関わり、社会ニーズに沿った体制を整備し、地域の医療機関のほか関係機関との連携を推進していきます。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率について、平成30年度は、前年度と比較し、外来収益の増加に伴い医業収益が大幅に増加し、一方で職員給与費の増加や高額な医薬品及び診療材料の購入等により費用が増加したものの、前年度(99.3%)に比べやや上昇(0.1ポイント)しています。②医業収支比率については、前年度(93.5%)に比べわずかに低下(0.1ポイント)しました。③累積欠損金比率については、平成30年度決算では純損失を計上したため減少には至らず、前年度(13.9%)に比べ0.4ポイント上昇しています。④病床利用率については、前年度と比較し延べ入院患者数が減少したため、前年度(75.9%)に比べ3.1ポイント低下しています。⑤入院患者1人1日当たり収益及び⑥外来患者1人1日当たり収益については、継続して高い水準で推移しており、患者さん1人当たりに対し、高度で専門的な医療を提供していると評価することができます。⑦職員給与費対医業収益比率については、医業収益の増加が影響し、前年度(56.3%)に比べ0.9ポイント低下しています。⑧材料費対医業収益比率については、高額な抗がん剤等注射薬の新規採用及び投薬量の増加が影響し、前年度(22.5%)に比べ0.8ポイント上昇しています。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、54.8%となり、類似病院平均と比較し若干高い数値になっており、施設及び保有する医療機械の老朽化が進んできていると言えます。②機械備品減価償却率については、75.7%となり、前年度(80.0%)に比べ4.3ポイント低下しましたが、これは、電子カルテシステムを含む病院総合情報システムを更新したことが主な要因となっています。③1床当たり有形固定資産は、年々増加傾向にあります。これは、近年耐用年数が経過した高額な放射線機器等を順次更新していることが影響しています。
全体総括
平成29年度と比較し医業収益は増加したものの、給与費及び材料費が増えた影響等により費用が増加し、残念ながら純損失を計上する結果となりました。現在、当院では、より効率的に病院運営を行うことを目的に適正な病床規模とする病棟及び病床の再編を実施しています。引き続き、早期に黒字経営に転換できるよう、これまで以上にコスト意識を持ち、全職員一丸となって経営改善に取り組んでまいります。また、老朽化が進む医療機械については、大型医療機器の更新も含め、計画的な更新及び導入を図ることとします。今後も構成市における中核病院として、住民の命と健康を守り、安定した質の高い医療を継続的に提供するため、より一層の経営改善を推進するよう努めていきます。