地域において担っている役割
当院は、構成市の圏域における中核病院として、高度・急性期医療センターとしての役割を担っています。5疾病(がん診療、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)5事業(救急、小児、周産期、災害、へき地)などの政策医療においては、特に、がん専門医療の提供、脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病、救急医療について地域の中核的な役割を果たしており、今後も各機能の維持及び強化に努めるとともに、精神疾患、認知症などの高齢者医療、在宅医療、介護にも関わり、社会ニーズに沿った体制を整備し、地域の医療機関のほか関係機関との連携を推進していきます。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率について、平成29年度は、前年度と比較し入院及び外来患者数が改善し収益は増加したものの、一方で職員給与費の増加や高額な医薬品及び診療材料の購入等により費用が増加したため、前年度(99.7%)に比べ0.4ポイント低下しています。②医業収支比率については、医業費用と医業外費用の計上区分を見直したことにより、前年度(99.0%)に比べ5.5ポイント低下しています。③累積欠損金比率については、会計基準見直しに伴う退職給付引当金の一括計上により発生し、早期解消に向け計画していますが、平成29年度決算では純損失を計上したため減少には至らず、前年度(13.7%)に比べ0.2ポイント上昇しています。④病床利用率については、前年度と比較し入院患者数が増加したため、前年度(74.8%)に比べ1.1ポイント上昇しています。⑤入院患者1人1日当たり収益及び⑥外来患者1人1日当たり収益については、継続して高い水準で推移しており、患者さん1人当たりに対し、高度で専門的な医療を提供していると評価することができます。⑦職員給与費対医業収益比率については、前年度(54.9%)に比べ1.4ポイント上昇しています。⑧材料費対医業収益比率については、前年度(21.3%)に比べ1.2ポイント上昇しています。
老朽化の状況について
②器械備品減価償却率については、80.0%となり、当院が保有する医療器械の老朽化が顕著となっています。これは、平成22年度の増改築工事の際に多くの医療器械を一斉に導入及び更新したことが影響しています。③1床当たり有形固定資産は、年々増加傾向にあります。これは、近年耐用年数が経過した高額な放射線機器等を順次更新していることが影響しています。
全体総括
前年度に引き続き純損失を計上しており、早期に黒字経営に転換できるよう、これまで以上に収益確保に対する意欲と費用削減のためのコスト意識を持ち、全職員一丸となって経営改善に取り組んでいく必要があると考えています。また、老朽化が進む医療機械については、大型医療機器の更新も含め、改めてその必要性、緊急性などを考慮し、計画的な更新及び導入を図ることとします。今後も構成市における中核病院として、住民の命と健康を守り、安定した質の高い医療を継続的に提供するため、より一層の経営改善を推進するよう努めていきます。